友達のA子とは長い間連絡が途絶えていましたが、久々に会うことができ、ふたりでカフェでお茶を飲むことになりました。
A子「実は前から興味があったデザインの勉強をしたいと思っているの。」
私「あら!いいじゃない。」
A子「いつかデザイン事務所を設立するのが夢なのよ。そこで企業のロゴをデザインしてみたいわ。」
私「それはすごいわね。」
A子「でもデザインのコツがわからないの。誰かコツを教えてくれないかなあ。」
あんまり突然の話で私はしばらく考え込んでしまいました。しかし、知り合いに昔デザイン会社で働いていたC子さんがいるのを思い出し、相談してみることにしました。
企業のロゴのデザインのコツは?
C子さんの働いていたアトリエでは企業のロゴの制作や宣伝活動など、たくさんの会社と取引がありました。家庭の事情で退職したものの、デザインの仕事は大好きでいつかまたデザイナーとして働きたいそうです。
A子と私は二人でC子さんの自宅を訪れ、デザインのコツを教えてもらいました。以下は私達の会話です。
A子「将来企業のロゴをデザインしてみたいんです。今デザインの勉強中なんですけど、コツがわからなくて。ロゴをデザインするときのコツがあったら教えていただきたいんです。」
C子「ロゴを決めるときはついつい自分の好きな色とか形とか、何となくこんな感じがいいとか決めたくなる人が多いのよ。」
A子「そうですね、インスピレーションが大事ですよね。」
C子「それではクライアントの心を捉えるようなロゴは制作できないわ。ロゴは会社の大事な顔なのよ。制作には大事なポイントがいくつかあって、それを抑えることでクライアントの心に残るロゴが制作できるの。」
私「なるほど。」
たくさんの企業がロゴを制作していますが、印象に残るデザインのものには必ずと行っていいほど共通点があります。
読みやすくシンプル
あまりに奇抜なデザインのものは読みにくくて、ロゴの役目を果たしていません。デザイン的に素敵でも、それはロゴとしては失格です。シンプルですが、わかりやすく、伝えたいことがはっきりわかるものが優れたロゴです。
クライエントの希望をしっかりヒアリング
またクライエントの希望にできるだけ沿った内容で作ることも大事です。たとえばクライエントはひらがなが希望なのか、英文字が良いのかあるいは混ざったものが欲しいのかきちんとヒアリングすることも大切です。
色に頼らない
たくさんのカラーを使ったものは一見デザイン性に富んですばらしいものに思えます。しかし、カラーだけに頼ったものは意外とロゴの印象が残りにくいのです。
もしも白黒で印刷された場合、どこの会社のロゴなのかわからないとなると、全く役に立たなくなってしまいます。
こうすれば作成がスムーズ!作り方の手順とは?
以下に作り方の一例をあげます。必ずしもこの通りにしないと作成できないわけではありませんが、初心者が始めるときの参考にしてください。
シンボルマークを決める
まずは会社で明確に訴えたい理念もしくは目的としたい商品をはっきりさせそれをシンボルにします。たとえば天然小麦から作ったパンが主力の商品なら、小麦をシンボルマークにします。
企業の名前とシンボルマークをリンクする
企業の名前とシンボルマークを関連付けることで企業になじみがわき、親しみが生まれます。たとえば有名なアマゾンやアップルは社名をロゴにして打ち出しています。
こうすることで会社の認知度が高まり、ロゴをみただけですぐ社名や業務内容まで頭に浮かぶようになっています。
カラーや字体など細かいデザインを決定する
カラーや字体は最終的には、クライエントの企業イメージにそったものに決定します。たとえば企業イメージが「熱く燃える」ものなら燃えるような赤とか、清々しいイメージを大切にしている会社なら薄い水色などです。
まとめ
その後久しく連絡が途絶えていましたが、ついこの間近況を知らせるメールが届きました。それによると、A子はなんとC子さんが立ち上げた会社でデザインの勉強をしながら働いているそうでした。
実際に企業のロゴをデザインする時もあり、そのときは「シンプルだけどわかりやすいロゴ」を制作するように心がけているのだそうです。そしてメールの最後にはこう結ばれていました。
「しっかり勉強していつか必ずデザイン事務所を開くから、そのときはまた連絡するね。」
私は夢に向かって一途に頑張る彼女を心から誇らしく思います。しっかり勉強して一流のデザイナーになってほしいなと思っています。