白羽の矢が立つとはいい意味の言葉なの?それとも?

雑学

先日、人事部の人が言いました。

「新しい部署の部長の件だけど、
○○さんに白羽の矢が当たったよ。
すごいよ、大抜擢だよねぇ」

へぇ~それはすごい。
○○さんにねぇ~。

白羽の矢がねぇ~。

ちょっと待って?!
白羽の矢?大抜擢?
当たった?


”白羽の矢”って、そもそも、
どういう意味?

何となく、嫌な予感……。
まさか、悪い意味じゃないよね?

ご明察!
もともとは、いい意味の
言葉じゃない
んです。

これは、知っておいた方がいいかも!
”白羽の矢”の意味と使い方、
調べてみました!

”白羽の矢”とは?

”白羽の矢”。

特別に選ばれた人!
大抜擢!
超ラッキー!
すばらしい!


そんな感じで使うこと、
ありますよね。

もちろん、”白羽の矢”とは、
”白い矢羽を持つ矢”って
ことです。

白という色は、何百年も前から、とても
神聖な色とされていました。

また、矢というものも、時として、
神様の意思を伝えるもの、
と考えられていたようです。

何だか良さげな感じですが、
では、神聖な白い羽のついた矢で
何を選ぶかというと……。

生贄です。
いけにえ。

ひぇ~。

生贄を決めるため?

世界中、どこの国にもある話だと
思いますが、日本にもあります。
科学のない古代のこと。

疫病が流行ったり、川が氾濫したり、
日照りが続いて作物が枯れたり、
そんなとき村人は思うのです。

神がお怒りになった!
神のお怒りを鎮めなければ!


神のおぼし召しで、いつの間にか、
家の屋根に、白羽の矢が
立っている
んだそうです。

で、村人たちは、その家の娘を、
生贄として神に捧げます。

なんで女性なの?

おそらく、大昔の日本では、
女性の方が神様に近い存在だった、
のかもしれません。

日本のあちこちに、若い娘を
生贄にする伝承は残っています。
やまたのおろちとか、猿神とか。

「人身御供」ってことですね。

大抜擢には違いないかも……。
神に捧げられるんですから、
大役です。

要するに、
”犠牲になるために選ばれること。”
それは大変名誉なことである”


そういう意味なんですね。

”当たる”ではなく”立つ”

もちろん、生贄っつうのは、
伝説や伝承です。

女性たちがお祈りを捧げたり
してたことはあったみたいですが。

でも、”白羽の矢が立つ”とは、
”犠牲を選ぶ”が語源、ってことで
間違いないみたいです。

あと、人間が射ってパーンと当てる
わけじゃないんで、
(神様のおぼし召しですからね)

”白羽の矢が当たる”ってのは、
的の外れた言い回し。

白羽の矢は、立ってるんです。
いつの間にか、屋根に。
”白羽の矢が立つ”が正解。

でも、言葉って、時がたつと
徐々に変化していきますよね。

日本語は歴史の古い言葉。
1億人以上が使う。
表現豊かで複雑な言語です。

”白羽の矢”なんて、ちょっと
カッコいい感じにも聞こえるし。

で、いいことにも使われるように
なった
んじゃないかと思います。

変化していく言葉

”当たる”は間違った言い方だけど、
その場で訂正入れるのも、
なんか、無粋な感じがしますよね。

まして、「白羽の矢ってのはそもそも
生贄をですね……」
なんて
ウンチクたれるのも、ちょっと引く……。

意味を知っていて、あ~と思いながらも、
笑って聞き流してる、って人が
ほとんどなんじゃないかと思います。

言葉は、どんどん変化していく
ものなのかもしれないですね。

2005年の文化庁による世論調査では、

”白羽の矢が当たった”でも、
特に違和感ないって人=35.3%

だったそうです。

言葉は、時代や世相を反映して
変わっていく可能性もある。

その流れは止められない。

でも、言葉の語源や正しい意味は、
いつでも調べることができます。


間違った使い方をしてしまったら、
調べて、次から気をつければいいし。

それに、なぜ、どうやって
言葉が変化
していったのか、
誤用が増えたのか調べるのも、

なかなか興味深いもんです。

日本語は難しいけど、奥が深い!
楽しいです。

終わりに

で、新しい部署の件ですが、
部長の内示を受けて、○○さんが
笑顔で言いました。

「いやぁ、私には役不足ですよ」

役不足:

能力に対して役目が軽すぎること。
自分が有能なのでこの程度の役職じゃ不足。
”力不足”とは逆の意味。

……。

大丈夫かなぁ、新しい部署。
どうなっちゃうんだろう。

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