私の夫は、忘れ物や失くし物が多い人です。若い頃には出掛ける直前になって車のキーや財布が無いとか、大事な書類がどこにもないあれが無いこれが無いと頻繁に騒いで家の中をグチャグチャにして探し回るので、心底うんざりしていました。
結婚して20年、今でもたまには車のキーが無い、テレビのリモコンどこ?などの大捜索はありますが、以前よりは自分のものを整理整頓ができるようになり、他人に迷惑をかけることも減りました。
ところが、夫の何かを引き継いでしまったのか、大学生の娘も自発的に整理整頓ができません。机の上は常にグチャグチャなのですが、本人曰く、捨ててさえなければどこかにちゃんとある訳だから困らないんだそうです。
正直なところ、夫も娘も整理できないことや失くし物忘れ物が多いことが何かの病気に当てはまるんじゃないかと、何度も何度も疑ってはいました。今回は、今まで私が夫や娘に抱いていた疑念や調べたことを書いてみようと思います。
整理整頓できない人の特徴と言い訳
夫や娘を見ていて、整理整頓した方が何がどこにあるのかわかるしきれいだし、探し物の時間も短縮できるし暮らしやすいと思うんだけどな・・・といつも感じます。
整理整頓ができない、失くし物が多い人ってどんな特徴があって、どんな思考をしているのか?我が家の場合だとこうなります。
失くし物の多い人の特徴
夫は整理整頓はまあまあできるのですが、とにかく失くし物や探し物が多いです。目薬に関しては、どこかに置き忘れることが多く、頻繁に購入しています。
夫の特徴は、
- 使った物を元の場所にしまうことができない
- 帰宅した時に、朝持ち出した場所と同じ場所に置くことができない
いつもの場所に置いたと思ったのに物が無い、どこに置いたのか記憶が無いという状況が多いのだと思います。
特別言い訳はしないのですが、そもそも自分で置いた記憶が無いのだから、誰かがそこに勝手に置いたと思い込んでいる時すらあり、自分は悪くないというような顔をする時があります。
散々探し回って痛い目にあったというのに、すぐに忘れてしまって以後も同じことを何度もしてしまうように感じます。
整理整頓できない人の言い訳
片付けない人代表の娘の場合は、
- 散らかっている状態が気にならないし、現状困ってない(困れば片付けますよ、的な)
- 必要なものは全てその中にあるので、その時に探し出せば済む(必要な時にだけ探せばいいんだから)
- どこかにあるはずだから、片付ける時間が無駄(手間の省略のどこが悪いの?)
片付けてないことにデメリットを感じていないし、「私は、片付けられないんじゃなくて、片付けないの!」という迷言まで生み落としました。独特なセオリーがあるようです。
整理整頓ができないのは病気なのか?
娘に関しては気が付いたのは、高校受験時に勉強机に積み重なっていく教科書や参考書、テストにプリントに・・・という机の上で、ほんの30cm四方ほどのスペースだけで勉強していたのが始まりでした。
幼児期にはよく動き回る子だったのですが、小学生になり放課後や土日に遊びに出ることも無くおとなしく過ごしているような子でした。一度ゾーンに入ると集中力は凄まじく、特別塾も行かずとも県で一番の進学校に進学しました。
妙にマイペース過ぎるな、とかよくケガをするな、うっかり忘れるものが多いなとは多少は思っていましたが、成長するにつれてさらに色々なことが際立って目に付くようになってきました。
また、それ以前から夫の失くし物の酷さやそれ以外の性格面で以前から気になっていた症状を基に、ある病気ではないかと疑うようになりました。
ADD(注意欠陥障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)
私が疑ったのは、夫は発達障害の一種のADHD(注意欠陥多動性障害)ではないか、ということです。
症状には、以下のようなものがあります。
- 不注意
気が散りやすく注意力が持続できない、忘れ物が多い、気になったものにすぐに飛びついてしまう - 多動性
極端に活動的(多動)、非活動的(寡黙)など活動をコントロールできない、整理整頓ができない - 衝動性
いつもそわそわして落ち着きがない、思ったことをすぐ口にする、衝動的に行動する
多動性の症状だけが無い場合にはADD(注意欠陥障害)で、のんびり屋でぼんやりしていることが特徴になります。
発達障害は病気ではない
発達障害は、病気ではありません。
生まれ持った脳の特性が基で、得意なことと不得意なことの差が極端に表れます。人には誰でも多かれ少なかれ不得意な事や得意なことがありますが、発達障害の人の場合はそれが特に顕著で自分でコントロールすることがしにくいため、生活に支障が出ると言われています。
脳の前頭前野(人の気持ちを推し量る、自制心、集中力、感情のコントロール、物事を同時進行する、やる気などの司る部分)と、側坐核(やる気を司る部分)の神経伝達が不安定で機能不全になっているため起こることがわかっています。
本人のせいではなく、ましてや心理的な問題や性格上の問題でもありません。
大人になって気付く場合もある
大人になり仕事をするようになってから、何だかおかしいなと気が付く場合もあります。大人になってから現れやすい症状としては、以下のようなものがあります。
- 時間や金銭にだらしがない
- 失言が多い
- 感情的になりやすい
- 自分に自信が持てない
- 対人関係がうまくいかない
- 整理整頓ができない
- 忘れ物、失くし物が多い
- ケアレスミスが多い
こういった症状のある人が職場にも居るかもしれません。家族でさえもイライラする時があるのですから、他人であればもっと支障が出てくるでしょう。
まとめ:ADD・ADHDで整理整頓できない人への対応とは?
我が家では、夫は医師による発達障害の診断を受けてはいません。思い当たることが山のようにあるため、私の中ではきっとそうなんだろうなと思いつつも、そのまま過ごしています。
診断を受けない理由は、夫本人が「あ、またやっちゃった」的な楽観的な感じですし、今さら本人が発達障害と分かったところでどうなのか?という気持ちが私の中にあるからです。
私の場合は、とても真似のできないような夫の素晴らしい能力で、彼の不得意なことは私から見るとあり得ないほどのうっかりばかりですが、それも個性だと思うようになったからです。
できないことを責めたりしません。こちら側が本人たちが暮らしやすいようにしてあげることが大事だと思っています。
ただ、発達障害が原因で苦しんでいる人は、診断を受けて周りに認知してもらい理解してもらえばきっと暮らしやすくなりますよね。発達障害だとわかって苦しみから救われる人も居ます。
あれこれたくさん整理整頓のルールを作るとすぐに忘れてしまうので、夫には最小限のお願いをしました。
3点セット(車のキーと財布、スマホ)は、帰宅後は見えるようにキッチンカウンターに必ず置くこと。他の自分の物は、放り投げてもグチャグチャでもいいから夫専用の固定スペースに置くこと。(←この場所は本当にグチャグチャです・・・)
この方法で、よく失くしていた3点セットを捜索することが激減しました。
家族で共有して使うものはまだあっちこっちに置く場合もありますが、爪切りやリモコンなどは細かく指定場所を決めずに机の上に置いてね、としてあるので大体はその辺を探せば見つかるようになりましたよ。
娘に関しては、家と外では見せる顔が違うという部分もあって、今までも困ったことになりにくいようです。いまだグレーゾーンですが、友達が来る時には整理整頓しているので様子見です。
とは言え、ここまでになるのに20年かかりました。気長に対応していくことが家族みんなが暮らしやすくなる秘訣だと思います。