アスファルトの道の上に、必ずといっていいほど見つかるマンホールの蓋。
よく見ると、蓋の表面の絵柄も、いろいろあるんですよね。
その地域の市や県の花や鳥が描かれていたり、ご当地キャラや人気漫画のキャラクターが描かれていたり。
見て歩くと、なかなか楽しいです。
でも……。
マンホールの蓋って、丸いものが多いように思いますが、何か決まりとかあるんでしょうか?
たまに、四角いマンホールの蓋を見かけることもありますが、うちの近所じゃ、丸い蓋がほとんど。
なんで丸いのが多い?
理由はあるの?
気になる!
街のあちこちで見かけるマンホールの蓋。
丸い蓋が多い理由は?
調べてみました!
マンホールの蓋って丸くなきゃいけないの?
そもそもマンホールって?
地下にある設備(下水道とか通信ケーブルとか)の点検や修理のときに、作業する人が出入りするために地面にあけられた縦穴のこと。
英語では「manhole」と書きます。
man + hole(人 + 穴)。
組み合わせ語なんですね。
小さいものをハンドホール(handhole)と呼んで区別する場合もあるらしい。
今、地下には、私たちの生活に欠かせない、電気やガスや水道など、いわゆる「インフラ」ってやつがたくさん埋まってます。
こういうものだって当然、古くなりますよね。
傷むこともあるし、老朽化も。
点検は不可欠。
そういうときのための穴なんですね。
で、そういう穴は、普段は必要ないので、ふさいでおかないといけない。
ふさいでおかないと、街中が”落とし穴”状態になってしまいます。
そこで登場するのが、マンホールの蓋。
道の上の穴をふさぐ蓋ですから、人や車が上を通ることもあります。
それなりに丈夫でないといけないし、簡単にあいちゃいけないので重さも必要。
表面が凸凹してると引っかかって転ぶ人がいるかも。
安全第一です。
しかし、緊急時にあける場合もあるので、あけにくい形や大きさであってはならないし、多少は目立たないとなりません。
そんなマンホールの蓋ですが、特に、大きさや形の規格や決まりがあるわけではないようです。
っていうか、マンホールの蓋って、楽天市場とかで売ってるんですね。
「浄化槽用マンホール蓋・直径450㎜・耐荷重2トン・お値段6,800円」とか。
品揃えを見ると、丸いものがほとんどで、大きさ(直径)もある程度パターンがあるようです。
こうしたほうがコスト削減になるのかも。
そもそも公共事業やインフラ整備のための縦穴をふさぐ蓋なんですから、そんなにお金かけるわけにもいかないハズですよね。
作業用の穴なので、そんなに大きく掘る必要もないし、人がひとり、縦方向に降りていくことができればいいわけですし。
そんな感じで、マンホールに求められることを簡単にまとめてみました。
- 作業用の縦穴をふさぐ蓋
- 普段はしっかり穴をふさぐ
- 必要なときにはすぐあけられる
- 人や車が乗るので安全面に配慮
- できるだけ低コストで
でも……。
形に決まりがないなら、もっと四角い蓋の割合が高くなってもよさそうなのに、丸いのが多い理由は何なのか?
もうちょっと掘り下げてみましょう!
マンホールの蓋が丸い理由は?
法律など公的な規制があるわけではなさそうですが、ではなぜ、丸い蓋が多いのか?
基本的には「丸いほうが合理的だから、何となくみんな、丸い蓋を使ってる」というのが正解みたい。
ホントに丸いほうが理にかなってるの?
丸いマンホールの蓋を使う理由としてよく言われていることを、いくつか挙げてみました。
丸い理由1)穴に落ちないようにするため
これが一番大きい理由らしい。
作業する際、マンホールの蓋をあけるわけですが、そのとき当然、蓋を持ち上げますよね。
もし、マンホールの穴が四角形で、蓋も四角かったら?
四角形の形を思い描いてみてください。
蓋の四辺より、穴の対角線のほうが長い。
蓋を持ち上げたとき、もし、少しでも蓋が斜めにずれてしまったら、マンホールの蓋を穴の中に落としてしまうかもしれません。
その点、マンホールの穴も蓋も、どっちも丸い形にした場合は……?
対角線(直径)はどこも同じ長さですから、蓋を持ち上げたとき、斜めにずらしたとしても、縦にしても傾けても、マンホールの穴に蓋が落ちることはありません。
開閉作業の際の安全確保のため、丸を選ぶケースが多いみたいです。
丸い理由2)欠けにくい・丈夫
そもそも、あんな丈夫そうな、鉄でできた重い蓋が「欠ける」ってところが想像つかないですが……。
大きな車が行き来するような道にあるマンホールだと、鉄製であっても、かなり摩耗してしまうらしいんです。
四角い形だと、角っこの部分が細くなりますよね。
細いとこから破損しやすいようです。
どんなに丈夫な金属でも、毎日毎日上から圧力かかったら、細いとこから変形したり、欠けたりする可能性が。
その点、丸い形だと、角はないし細くなってる個所もないので、上から圧力がかかっても力が分散されて、破損しにくいらしいんです。
確かに、角が丸くなってる湿布は剥がれにくい。
角丸形の付箋もありますよね。
角がない形のほうが望ましい、ということで、丸い形のマンホールの蓋がよく使われているようです。
丸い理由3)作りやすい
古代ローマ帝国の都市には、既に下水道の設備が整っていて、マンホールの原形のような穴も多々あったんだとか。
マンホールにはちゃんと蓋がしてあったようです。
ただし、素材は鉄製ではなく、岩。
岩を丸い形に切り出すのは難しそう。
だからかどうかはわかりませんが、古代ローマ帝国の遺跡から出てきた「蓋」は、四角形だったそうです。
確かに、石などを切って作るなら、四角い形のほうが作りやすいと思います。
しかし、現代のマンホールの蓋は鉄製。
鋳物(加熱して溶かした金属を型に流し込んで作った金属製品)ですよね。
そうなると、やはり、角がある四角い形より、丸型のほうが、型から取り出すときとかに角が欠けたりしにくいし、作りやすいんだそうです。
安全で丈夫、しかも作りやすい形となれば、マンホールの蓋はもう、丸い形で決まりですよ!
他の形を選ぶ理由が見つかりません!
丸い理由4)向きがないので穴にセットしやすい
これも言われてみれば納得、って感じ。
四角形だと、四つ角をちゃんと合わせないとなりませんが、丸ならどういう向きでもピタッとセットできます。
細かいことですけど、実際に作業する人にとっては、蓋をするときの時間短縮にもなるだろうし、楽になるんじゃないかな、って思います。
丸い理由5)転がして運べる
近所の道路工事の現場で、目撃したことがあるのを思い出しました。
マンホールをふさぐ際、何やら重そうな丸い形のものを、タイヤのようにゴロゴロ転がして動かしている人の姿を。
マンホールの蓋って、かなり重いんですよね。
決まりはないらしいですが、最近のものだと、だいたい40㎏くらいあるらしいです。
古いものだと、80㎏くらいあるものも。
簡単には持ち上がりません。
マンホールから外して、邪魔にならないところに運び出したり、作業が終わって元に戻すときなど、丸いお盆みたいな形なら、持ち上げなくても転がせば移動可能です。
これも結構、重要な理由なんじゃないかな、って思いました。
マンホールの蓋が丸い理由としてよく言われてることを5つ、挙げてみました。
理由はほかにもたくさんありそうですが……。
「丈夫で安全、扱いやすく、作業しやすく作りやすい」……そんな形を追求していくうちに、丸い形が主流になった、というのが真相のようです。
まとめ
『ローマの休日』という映画に登場する「真実の口」という丸い石のオブジェをご存知ですか?
あれ、元々、古代ローマ時代のマンホールの蓋だった、と考えられているらしいです。
大理石製だし、直径1.8mくらいあるんで、てっきりアートだと思ってたんですが、まさか実用品だったとは……。
表面に彫ってある顔は、海神トリトーネ(トリトン)なんだそうです。
神様に水を守ってもらっていたのかな?
「上に乗るな」って警告か?
今では「嘘つきが手を入れると、その手を噛み切られる」と言われている口ですが、単なる作業用の取っ手だったって見解もあるんだそうです。
さて真実は如何に?
なかなか興味深い話ですね。
マンホールの蓋事情。
調べてみると結構面白かった♪
マンホール探して地面見ながら歩くのが癖になりそうです!