近頃は、日常生活の中で
鉛筆を使う場面がめっきり減りました。
シャーペンなら芯を替えるだけですみますし
ペンケースに入れずにポケットや手帳に差して
持ち歩くこともできます。
でも大人はそうかもしれませんが
子どもにはまだまだ現役で使われている鉛筆。
そういえば、鉛筆の濃さには
どれくらいの種類があるか、ご存じですか?
HBにBに2B、このくらいは誰でも
使ったことがあるのでは?
でも実は、鉛筆の芯にはまだまだ種類が
あるんです。
中には「こんなのどうやって使うの?」と
言いたくなるようなものまであって
面白いですよ。
鉛筆の種類や規格
鉛筆には、現在17種類の芯が存在します。
(JIS規格より)
硬度記号というもので表わすと
6B←5B←4B←3B←2B←B←HB←
F←H←2H←3H←4H←5H←6H
←7H←8H←9H
右にいくほど芯は薄く硬くなり
左にいくほど書く線は濃くなります。
ちょうど中心になるのはHBです。
(ただし硬度の科学的定義は
まだ規定されていません)
Bは、BLACK(黒)
Hは、HARD(硬い)
Fは、FIRM(しっかりとした、
ひきしまった)の頭文字です。
硬度記号の境目は、芯の曲げ強さ
(曲げ試験で折れるまでの最大荷重を
基にした値)で決められます。
例えば、9H、8H、7Hは曲げ強さ90MPa
(メガパスカル)以上
6H、5Hは80MPa以上という具合です。
ちなみに1MPaでは、1平方センチメートル
に10kg重の力がかかることになります。
芯の直径は、Hが1.8ミリ以上
F〜6Bが2ミリ以上となっています。
JIS規格からは外れていますが
三菱鉛筆のユニ(uni)は
10H~10Bの計22硬度があります。
7B~10Bの鉛筆は2008年と
比較意的最近開発されたものです。
HBとBの間に、HBBというHBより
少し濃い芯がある場合もあります。
芯の濃さは温度に影響されやすく
同じ硬さのものでも暑いときには
文字が濃くなって寒いと薄くなります。
ちなみに、シャーペンの芯で売っているのは
4H~4Bの10種類です。
色鉛筆の場合は
軟質、中硬質、硬質の3種類です。
歴史
硬度表記は、18世紀末に
ニコラ・ジャック・コンテが考案しました。
当初は芯の硬さに番号をつけ
一番硬いものを1とし、軟らかくなるにつれて
番号を増やして表されましたが
この方式は普及せず
19世紀には鉛筆の濃さの表し方は
バラバラでした。
19世紀初めに、ロンドンの鉛筆製造業者
ブルックマン社が、HとBの記号を最初に
使うようになりました。
やわらかく濃い芯の鉛筆はデッサン向けなので
画家に求められるため
そのようなグループをB
硬く薄い芯の鉛筆は製図などに用いられるため
製図者が好む硬い鉛筆のグループを
Hとしました。
Bより濃いもの、Hより薄いものは
当初BBやHHと表したり
2Bや2Hと表しました。
そのうち、画家や製図者だけでなく
BとHの間にも需要があることが分かり
HBが作られました。
Fはさらにその後に
HBとHの間として作られました。
余談ですが
日本では1942~1945年くらいまで
ローマ字での表記が禁止されていたため
2B=二軟
B=一軟
HB=中庸
H=一硬
2H=二硬
このような表記がなされていました。
なんだか、鉛筆ではなく別物みたいですね。
使い分け方
一般的に、中学生くらいまでの学童は
2B~HBの鉛筆を使うのが
よいとされています。
軟らかい芯は大きな筆圧が必要ないため
筆圧が弱い子どもでも書きやすいからです。
それ以上の年齢の学生や一般事務が使う鉛筆は
HBやF、Hが多いです。
ただし、マークシート方式の試験には
HB以上の軟らかさの鉛筆の使用が
決められているなど
場面によっては指示がある場合があります。
普段あまり見かけない鉛筆といえば
製図用の鉛筆があります。
一般の製図用には2H~6H
精密製図用になると7H~8Hが使われます。
建築士など専門職で使われるので
目にする機会はあまりないかもしれません。
薄くて細かいラインが描けるというのが理由です。
また、絵画用の鉛筆も
文字を書くにはあまり使われない
濃さのものです。
絵画用には、おもに3B~6Bを使います。
美術関連の専門職や美大生に使われます。
濃い鉛筆と薄い鉛筆を織り交ぜて描いていくと
より繊細な絵が描き上がるのです。
色鉛筆の場合は
硬質は主として、グラフを書いたり製図などに
中硬質は、筆記、図画などに
軟質は、陶磁器、金属、プラスチックなどに
描画するのに用いられます。
まとめ
最近は、鉛筆よりもシャーペンを使う人が
圧倒的に多いです。
でも、小学校で最初に字を書くことを
学ぶときには、鉛筆を使いますよね。
私が小学生のころは
学校でシャーペンを使うことは
禁止されていました。
当時は不便に思いましたが
きっと先生は鉛筆を通して
最後まで物を大事に使うことを
教えたかったのではないか、と
今になって思います。
鉛筆で書かれた文字の温かさは
シャーペンの字にはないものがありますね。
時には鉛筆を手にとって
手に伝わる柔らかい感触を堪能してみては
いかがでしょう。