近所の商店街で、新しいご当地キャラクターの名前募集イベントを行うことになりました。
町おこしのために、地元のイラストレーターさんに書いてもらったキャラクターだそうで、地域の特産品をモチーフにしたもの。
商店街に設けられた応募箱の前には、応募用紙を片手に考え込む子供たちの姿がありました。
名前募集イベントのスタッフさんたちも、盛り上げようと必死です。
そんな中、スタッフのひとりがふと、こんなことをつぶやきました。
「ゆるキャラって、外国の人にも理解できるかなぁ」
確かに……地域には外国の人もたくさん住んでますし、できれば、ゆるキャラのことを理解して、イベントに興味を持ってもらいたい!
ゆるキャラって、英語で説明するとき、なんて言ったらいいんでしょう?
1)一言で表すなら「mascot character」
残念ながら、「ゆるキャラ」の正式な言い方は、英語にはなさそうです。
日本でも、数年前に誕生した新しい単語ですから、英語での言い方も、今後だんだん定着していくかもしれませんね。
現時点で、「ゆるキャラ」を英語圏の人にもわかりやすく、ズバッと一言で説明するなら、「mascot」または「mascot character」が一番しっくりくると思います。
どこかの地域や団体専門の、公認のキャラクターである、という意味では、「official character」と呼んでもいいかも。
アメリカでは、野球やアメフトなどのスポーツチーム専用の「スポーツマスコット」や、高校や大学の「スクールマスコット」などがあるので、雰囲気は伝わると思います。
ただ、多くのゆるキャラたちのような「地域や特産品のPRのため」のマスコットというものは、海外ではあまり見かけません。
「ご当地キャラ」みたいなニュアンスを英語で伝えるには、どう言ったらいいのでしょう?
2)ご当地キャラは「local mascot character」
地域活性化や特産品PRのためのマスコットであることを表現するなら、「local mascot」または「community mascot」で伝わるようです。
Yuru-chara is a local mascot character.
(ゆるキャラはご当地マスコットキャラクターです)
Yuru-chara is a mascot devised for PR purposes by local community.
(ゆるキャラはPRのために地域によって考案されたマスコットです)
Yuru-chara is a local mascot to revitalize this town.
(ゆるキャラはこの町を活性化するためのご当地マスコットです)
ゆるキャラ誕生の背景には、”町おこし”とか”地域活性化”といった目的があると思うんですが、そういう意味合いを英語で伝えるのがなかなか難しそうです。
3)”ゆるい”はどう言ったらいい?
一番難しいのが”ゆるい”というところ。
この部分を英語で説明するのが結構難しい。
以前、とある雑誌で、日本語の”かわいい”という言葉を英語で表現するのがすごく難しい、という記事を読んだことがあります。
prettyとかcuteとかbiutifulとかでいいんじゃないの?と思いがちですが……。
腹巻ステテコ姿のオッサンのキャラクターや、ゴツゴツトゲトゲしたサボテンを見て、女子高生たちが「かわいい」と言っている様子を見て、驚く外国人も多いんだとか。
こういうキャラをcuteと言ってしまうと、やや皮肉っぽく聞こえてしまいます。
日本語の”かわいい”は、日本が長い歴史の中でつちかってきた独特の概念なのかも……なかなか、ピッタリくる英語表現がないんですよね。
確かに、ゆるキャラの中には、決して”可愛らしい”とは言えない造形のものもあります。
アメリカのスポーツチームのマスコットのような、きびきびした動きはしないし、返ってイメージダウンになるのでは?と心配になるようなダメキャラも多い。
その辺が”ゆるい”という言葉につながるのかもしれません。
見た目が可愛らしい、というだけでなく、緊張がほぐれる、見ていてほっこりする、気持ちが和むもの。
そこのところをうまく理解してもらいたい!
そんな英語表現がこれ!
heartwarming mascot character
(心温まるマスコットキャラクター)
loose mascot character
(ゆるんだマスコットキャラクター)
looseは”だらしない”とか”ずぼら”とかいう意味もあるので微妙な感じですが、ゆるい、ほぐれた、という感じで使われることも多いようなので、ゆるキャラのニュアンスは伝わりそうです。
単語を置き換えることはできても、日本独特の文化や物事のとらえ方まで伝えるのはかなり難しそう。
実際にゆるキャラをいくつか見てもらって、理解してもらうのが一番なのかもしれません。
まとめ
2016年のゆるキャラグランプリでは、エントリー数が1,412体にも及んだそうです。
そんなにたくさんいるんですね……。
日本の文化のひとつと言ってもよさそう。
そんなゆるキャラ、正式な英語表現は今のところないので、まず「mascot」であることを伝えて、必要に応じて補足するのがよさそう。
地元のゆるキャラが全国区で人気者になると、何だか元気が出ますよね。
海外の人たちにも、もっとゆるキャラたちのことを知ってもらいたいです!