小2の息子と公園に行った時、地面に
小さく綺麗にくり抜かれた穴を
いくつか見つけました。
「蝉の穴!」と、嬉しそうに叫ぶ息子に、
「蝉って成虫になると7日間くらいしか
生きられないらしいよ。」と私が言うと、
「それ、うそうそ。蝉って本当はもっと
長生きなんだよ。」とピシャリと言い
返されました。
本当?!虫オタクの息子の方が
蝉について私より詳しそう。
そこで蝉の一生について、蝉博士の息子に
教えてもらうことにしました。
蝉の一生:幼虫編
成虫で元気に鳴く期間よりずっと長い間、
蝉は地中で幼虫として生きているそうです。
先ずは、幼虫の様子を教えて貰いました。
孵化から地中へ
成虫のメスは、たまごを木の幹や枝に
産み付けます。
翌年の6月頃に、たまごからかえった
幼虫は、木の幹や枝を伝って、地中に
潜りこみます。
地中で彼らのご飯なるのが、樹液。
木の根っこにストローのような管を
差し込しこんで吸い上げるのだとか。
長い地中暮らし
蝉の一生に、はかないイメージがあるのは、
地中生活が長い割に、
地上に出て成虫で活動できる期間が
短いところから来ているからでしょう。
実際の蝉の幼虫期間は、種類によって
こんな感じです。
- ツクツクボウシ(体長4.5cm)・・・1~2年
- アブラゼミ・ミンミンゼミ(体長6cm)・・・2~4年
- クマゼミ(体長6~6.5cm)・・・2~5年
- ニイニイゼミ(体長3~4cm)・・・4~5年
長いものでは、17年ゼミと呼ばれる
寿命が17年もあるご長寿蝉も存在します。
何故にこんなに地中で長く暮らすのか、
それは、餌が樹液なので、
なかなか大きくなれないから。
特に、冬に樹液が少なくなったりと
季節を通して安定した栄養がとれる
わけでもありません。
なので時間をかけて大きくなる必要が
あるそうです。
結構長生きな蝉達。
他のムシ達と比べてみると例えば、
こんな具合です。
- 働きアリ、カマキリ、ホタル、コオロギ
バッタ、カメムシ、クモ…1年 - オオスズメバチの働き蜂、トンボ、
てんとう虫…2〜3ヶ月 - ミツバチの働き蜂、ハエ、シラミ…1ヶ月
- モンシロチョウ、ノミ、蚊、スズムシ…
2〜3週間
他の身近な昆虫の寿命と比べると
蝉は地中で随分長く生きている事が
わかります。
蝉の一生:成虫編
地中で数回に渡って脱皮を繰り返した後、
夏頃に最終段階の脱皮を終えた蝉の幼虫が、
地上へと穴を掘り、
晴れた日の夕方頃に、樹液を吸っていた
木の幹に取り付き、羽化すべく上へ上へと
登ります。
羽化から交尾、産卵まで
羽化を始めるのは、辺りが暗くなって
来てから。
スズメ蜂などに襲われないように、
日中に羽化はしません。
羽根を乾かす間、じっとしていなければ
ならないため、蝉を餌とする他のムシや
鳥から見つかりづらくする為です。
交尾して産卵するまで、実は上手く敵に
捕食されず、人間の子供に捕獲されず、
飛行中にモノにぶつからなければ、
3週間から1ヶ月は生きるそうです。
成虫になって1週間しか生きられない
と私が思っていたのは、
セミ採りをして人間が虫かごで飼うと
蝉用の餌が手に入りにくいために、
一週間程度で死んでしまうからだとか。
彼らの餌は、生きた木からとれる樹液。
昆虫ゼリーではダメなので、蝉を
飼育するのは難しいようです。
命が終わる時
メスが上手く木の幹に産卵できれば、
蝉の成虫としての役目もおわる為、
オスもメスも寿命を迎えます。
子育てが要らないムシならではです。
地上に出てから、先ずは子孫を残す為に
必死なんですね。
蝉がよく仰向けになって死ぬのを
見かけます。
羽根側に重心がある為や、
都会では地面が舗装されている為、
一度落っこちてしまうと地面の
でこぼこを利用して起き上がるのが
難しいからだそうです。
死んでいると思って突然動き出す
蝉にビクビクしてしまいますが、
足が曲がった状態なら死んでいて、
足が伸びているならまだ息がある
という見分ける方法があるそう。
まとめ
「蝉って本当は随分長生きなのねぇ。」
蝉博士の息子に教えて貰った感想を
息子に言うと、
「蝉は地上の方が危険だから、土の中で
じーっと木の汁を吸って大きくなるの。
前の夏に蝉を手で捕まえた時、イテッと
思ったら、僕の手の汗を樹液だと思って
吸おうとしてたんだよ。健気でしょ?
思ったより寿命は長くても、成虫で
産卵まできちんと生きれるのは、
全体の半分なんだって。蝉も大変だよね。」
博士っぽいなぁと感心して、
セミ採り好きの息子に、
ふと疑問をぶつけて見ました。
「そんなに蝉に同情するならセミ採りは
可哀想じゃないの?」と聞くと、
「ムシはね、人間の子供が採って遊んだり
観察したり、ムシの世界を知るのに十分な
ほど、いっぱい生きてるの!
虫捕りのワクワクを知らずに大人になるな、
って養老猛司って言う人が言ってたよ。」
と哲学的な事を言われて少しびっくりして
しまいました。