お正月に、家族で神社にお参りに、
行った時のことです。
5歳の息子が、神社の入り口で
「右のライオンは『あ』って
口を開けてるけど、左のは『ん』って
口を閉じてるのはどうして?」
と尋ねてきました。
『ライオン・・・』多分、狛犬の阿吽の事だろうと
思ったのですが、どうしてって言われても、
と返答に困りました。
そこで、何となく
『平仮名は『あ』で始まって『ん』で
終わるでしょう?
だから、ライオンも『あ』で始まって、
『ん』で終わるんだよ。』
と答えましたが。
私も息子も納得の行ったような、
行かないような、すっきりしない感じでした。
私自身も何となく、見過ごしていた
神社の狛犬について、改めて調べてみると
面白い事が、分かりましたよ。
狛犬とは
「狛犬」とは、神社の前や社殿の前などに
置かれた、一対の獅子や犬に似た、獣の像で、
魔除けの力がある、と言われています。
魔除けと言うからには、何かを守っている存在、
ということになります。
そもそも、狛犬は「脇侍」、つまり、
左右に控える存在として、釈迦如来や
阿弥陀如来等の、仏像を守ってきたのです。
ここで『あれ?』と思ったあなた。
狛犬は、神社にいるんじゃないの?と。
そう、現在私たちが、神社と寺を別々の物と
捉えてしまっているのは、明治政府が、
神仏分離の法令を、発布したからなのです。
それ以前は、神社と寺に概念の区別は
なかった為、数は少ないですが、実は
狛犬は寺にもいるんです。
特に、東大寺の狛犬は有名です。
狛犬のルーツ
仏像が出てきたので、狛犬のルーツについて
更に進んでみましょう。
狛犬は「高麗犬」とも書かれますが、
これは狛犬が、朝鮮半島の高麗から
渡来した、という説から来たものです。
また、高麗犬の姿を表す言葉として、
「唐獅子」という言葉がありますが、
「唐(韓)」は昔の日本人にとって、
朝鮮や中国、更に広く外国を指す言葉でした。
このことから、狛犬のルーツは朝鮮・中国に
ありそうですが、そもそもこれらの国に
獅子、つまりライオンは当時いませんでした。
ライオンの生息地は更に西の、
インド・ペルシア・エジプトにまで及びます。
ライオンはその力強さと、美しさゆえ、
百獣の王とされ、神格化されたり、時には
王である事の象徴にもなりました。
そして、古代オリエントの王たちは、いつしか
ライオンの狩猟を、自分たちの特権とする事で
自らの権威と神性を誇示していったのです。
シルクロードから発見された、多くの美術品や
家具調度品に、ライオンの頭部や脚がデザイン
された物があるのが、その証拠です。
王の権威を表したライオン、獅子が、次第に
仏教に取りいれられ、仏が座るところを
「獅子座」と呼んだことから、
狛犬へ発展していった、という説があります。
阿吽の意味
そもそも、「阿吽」という言葉自体、
どんな意味があるのか調べてみました。
デジタル大辞泉によると
『梵字の12字母の、初めにある阿と
終わりにある吽。
密教では、この2字を万物の初めと終わりを
象徴するものとし、菩提心と涅槃等に当てる。』
とあります。
要約すると、阿吽は、仏教を伝来する為の
文字、12字の最初と最後にある文字で、
密教では、この2字を悟りを
求めようとする心に利用する、
という事になります。
また、『日本語大辞典』によると
『密教で、宇宙生来の本源と究極』とあります。
つまり、宇宙に存在する一切のもの、
森羅万象を意味します。
この2つの事から、狛犬の阿吽は
・世の中の全ての現象と原因を表したもの。
・悟りを求めるなら、いつでも大歓迎。
という事を意味します。
まとめ
狛犬について、色々とご紹介しましたが、
狛犬の阿吽には、とてもありがたい
意味があったんですね。
私の息子への説明もあながち、
間違ってはいなかった・・・?(笑)。
狛犬は、一般的には向かって右が阿で、
左が吽ですが、製造年代や寄進者によって、
左右は、統一されていない事があるようです。
もちろん、獅子や犬だけでなく、
ウサギやオオカミなど、他の動物に似た
狛犬が設置された寺社もあります。
何気なく見過ごしていた狛犬ですが、
今度神社などを訪れる時は、
注意して、見てみたいと思いました。