以前、TV番組「ハナタカ優越館
日本人の3割しか知らないこと」で、
日本には、正式な国技は存在しないという
事実を、紹介していました。
まさしく、
私は、知らない7割の日本人でした!
それを知った時、
「じゃあ、なぜ相撲は両国国技館でやってるの?」
「日本の国技なのに、日本人の横綱が居ないのは
嘆かわしい」とか
昔、TVでいってたよね?
と納得しがたいものが、ありました。
では、なぜ国技でもない相撲が、
国技と思われているのか…
その理由や、国技の定義を調べてみました。
国技の定義
国技は一般には、
「その国特有の技芸、国の代表的な競技」
のこととされ、
一般的には、スポーツ競技や
武術などのことを、さしています。
とはいえ、厳密な定義はなく、
『事実上の国技』と、いわれるものもあれば、
国がわざわざ、法令で定めてあるものも
あります。
しかも、その国でいちばん人気のある
スポーツとは限らないのです!
日本のなかでの相撲が、それにあたると
ひきあいに、だされることもあります。
広い意味での国技は、
人によって、いろんな意味で
とりあげられますが、
ほとんどの場合、次の2つの意味で
使用されることが、多いそうです。
- 国家機関により、特別の地位や待遇を与えられている
- アイスホッケー・ラクロス(カナダ)
- パト(アルゼンチン)
- テコンドー(韓国)
- バレーボール(スリランカ)
- テホ(コロンビア)
- ロデオ(チリ)
- セーリング(バハマ)
- カバディ(バングラデシュ)
- カポエイラ(ブラジル)
- チャレリア(メキシコ)
- 国民に深く親しまれ、その国の文化に特に重要な位置を
占める、という考えが一定の範囲に広められている。 - 野球(アメリカ)
- サッカー(イタリア)
- クリケット・サッカー(イングランド)
- 野球(キューバ)
- 卓球、中国武術(中国)
- 闘牛(スペイン)
- ムエタイ(タイ)
- 相撲(日本)
- ノルディックスキー全般(ノルウェー)
- フェンシング(フランス )
- 水球・ハンドボール(クロアチア)
- スピードスケート(オランダ )
国家機関から、法令などで
正式に『国技(national sport)』としての
地位を認定されているものです。
歴史が古くて、その国の伝統文化と
深く結びついていれば、国技という考えもあれば、
競技者人口や、観戦者人口の多い、
国民に人気の高いもの、という考えもあって、
一定の決まりや、意味がないのが現状です。
また、アメリカ合衆国では、
歴史的には、野球が国技にあたると
されてきましたが、
近年の世論調査では、
野球より、
「アメリカンフットボールこそが、国技である」
という意見が、多数派になったり、
時代によって、変化することもあります。
国技の条件として、
「その国で生まれたもので、なければならない」
という考えもありますが、
国民から、深く愛されているスポーツが、
外国に起源を、持っているケースも、
珍しくはありません。
相撲が国技と思われているワケ
「日本の国技が相撲」という考えが、
浸透することになった、キッカケは、
1909年(明治42年)、相撲常設館が両国に
初めて完成した際、『国技館』と
命名されたことによる、とされています。
国技館の名称は、元は『常設館』の予定でしたが、
「国技館と命名してはどうか」
という提案があり、受け入れられました。
それは、開館式での披露文(作家:江見水蔭執筆)に
「相撲節は国技である」という内容が、
書かれていたことに、ヒントを得た、とされています。
そのあたりから、「国技は相撲」という考えが、
広まっていくのですが、
法的には、国の機関から、正式に国技として
定められたことは、ないのです。
しかし、国技という言葉は、法的に根拠を与える
ことだけが、その証しではありません。
そもそも、
国技を国が定めているほうが、少数派です。
数百年の歴史をもつ、大相撲は、
日本の国民性・民族性と、深く結びついていると、
推し量ることが、できます。
この定義からいけば、相撲を国技としても
間違いではありません。
国民的スポーツか?お家芸か?
各国で、国技といわれている
スポーツであっても、一概に、
その国で、人気No1のスポーツとは限りません。
確固たる人気のある、スポーツであっても、
いろんな理由で、
国技として、認知されないこともあります。
特に、そのスポーツが
「外国から輸入されたもの」という
認識がおおきく、
また、自国の文化に根ざした、スポーツや
伝統武道が、他にある場合は、
国技と見なされないケースが、多くあります。
たとえば、日本における野球や
フランスにおけるサッカー、
中国におけるバスケットボールなどですが、
近年の日本野球でも、野球協約に、
「野球を不朽の国技」にすることが、
うたわれている、らしいのですが、
野球ファンにも、普及していないのが現状です。
この場合、「国民的スポーツ」という表現を
つかう場合が、多くあります。
一方で、外国から伝わったスポーツが
国技としての地位を
獲得した国も、多くあります。
たとえば、台湾における野球や
英連邦諸国における、
クリケットなどがあります。
また、サッカーの起源は諸説あり、
有力な説といわれているのが、
イングランド・イタリア・中国ですが、
サッカーを国技とする国は、
いがいと多くあり、起源説のある
イングランド・イタリアの他に、
エジプト・コスタリカ・サウジアラビア・
スコットランド・ナイジェリア・ペルー・
ポルトガルなどがあります。
また、国技として、
認められるまではいかなくとも、
世界大会などで、常に上位を占める競技を
お家芸などと称したりもします。
まとめ
大相撲を、TVのワイドショーや
スポーツコーナーなどで、取り扱うときも、
いつのまにか、
国技とはいわなくなったなと
感じてはいました。
それは、日本人より外国人力士が、
横綱や上位の番付の、大半を占めてきた
からだと、思っていました。
日本相撲協会の広報部では、
「相撲は国技ではありません」
と、否定したそうですが、
皮肉をいえば、
排他的な国民性気質の抜けない、
大相撲の現状を、みていると、
たしかに「国技」と呼ぶのに、
ふさわしい気もします。
日本の相撲会が、「相撲は日本の国技」としての、
矜持や責任をもつ気がない、のであれば、
「国民に深く親しまれ、その国の文化にとって、
特に重要な位置を占める」定義から、
相撲は、外れてしまったといえるでしょう。
したがって、日本における国技と呼べるものは、
現状”ない”のかもしれません。