友人のA子は、先月ついに「賃貸派」を
卒業し、分譲マンションを購入。
最近では、インテリアを整えたりして、
ご主人と、マイホームライフを
満喫している、とのこと。
早速、新居に遊びに行ってみると、
教えて欲しいことがあると、
何かの書類を、見せられました。
私「ああ、マンションの管理組合の
総会の、お知らせね。
これが、どうかしたの?」
A「私、ずっと賃貸に住んでたから、
分譲マンションの、管理組合の総会って
言われても、よくわからないのよ。
しかもこの日、主人が仕事の都合で、
出席できない、みたいなの。
総会って、どんなことをするの?
ヤッパ出ないと、マズイのかな?」
私「そっか~。
初めての、分譲マンションだと、
『管理組合』って言われても、
何が何だか、分かんないわよね?
それじゃ、まずは管理組合って
ナンなのか、
サクッと、説明してみるね。」
管理組合とは
私「マンションを、購入すると、
所有者は、全員そのマンションを
管理するための、組合組織である、
『管理組合』へ、加入することに
なっているの。」
A「えっ?全員!?
それって、強制的なの?」
私「ちょっと、用語が面倒くさいかも
しれないけど、
マンションのように、複数の独立した
各部分から、構成されている建物を
『区分所有建物』と言うの。
そしてこういった、建物の
独立した各部分、
つまり部屋(=専有部分)を
所有している人を
『区分所有者』と、呼んでいるの。
区分所有者は、分割することが出来ない
1棟の建物を、区分して複数の人が
所有する訳だから、
必然的に、建物や敷地なんかを、
共同で管理する、必要があるわよね。
そのための組織や、運営方法等
について定めた、『区分所有法』という
法律があって、
その中で、全ての区分所有者の
『管理組合』への加入が
規定されているの。
だから自分の意志で、組合に入るとか
入らないとかは、できないのよ。」
A「あ~。それで、毎月管理費を
取られてるんだね。
でも、マンションを管理するって
一体どういうことを、するってこと?
ゴミ置き場の、掃除とか?」
私「確かに、賃貸マンションの場合は、
マンションを、管理している
所有者とか、
所有者が雇った、管理人さんなんかが
建物全体を管理して、お掃除なんかも
定期的にして、くれてたわよね。
でもね、分譲マンションの場合は、
複数の『区分所有者』で、
全体を、管理していかなくっちゃ
ならないの。」
そもそもマンション管理とは?
私「マンションの、管理っていうのは、
平たく言えば、
『マンションに、住む人みんなが、
快適で安全に、暮らせるようにする』
ってことかな。
マンションなんかの、共同住宅って、
2種類のエリアが、あるわよね。
まずは、持ち主が自由に使用出来る
『専有部分』と、言われるエリア。
早い話、部屋内よね。
勿論、自由に出来るとは言っても
使用のみで、処分や改造は
自由には、出来ないけどね。
で、それ以外のエリアは、
全て『共用部』と呼ばれ、
廊下や、エレベーターなどのように
その住人なら、誰が使っても
いいことに、なっているわよね。
マンション管理、っていうと、
共用部分の、清掃作業って
考えている人も、多いみたいだけど、
実際には、設備の保守・点検、
住民間の、トラブルの仲裁、防犯、
修繕計画の、プランニング・実行、
管理費・修繕費の管理など、
様々な内容が、含まれているのよ。」
A「でもウチの主人に、設備の保守とか
出来そうも、ないんだけど、
大丈夫かしら?」
私「勿論、管理組合だけで
このような業務を、行うには、
知識も、不足しているし、
技術的にも、難しいことが多いから、
現実には、管理事務自体は
管理会社に、業務委託するケースが
ほとんどだと、思うわ。
そんな場合でも、管理組合が
基本的な方針を、審議・決定して、
維持・管理の主体としての
役割を担う、必要があるのよ。」
A「なるほど。
つまり、共用部分っていうのは、
マンションの住人全員の、共有財産だから、
維持や管理について、全員参加の
管理組合で、責任を持とうって
訳なのね。
ってことは、まさか何か管理上の
問題がある度に、全員が会議に
呼び出される、ってこと?」(゚ω゚;)ヒェ~!マジ
私「ありえな~い!
管理組合は、区分所有者全員参加とはいえ、
総戸数100戸以上、ともなると
『全員集合!』ってのは、
どう考えても、ムリよね。
だから、ほとんどの管理組合では、
区分所有者の代表、という形で
数名の人を選んで、
『理事会』という、組織を作って、
1~2年くらいの、サイクルで
メンバーを、変えながら、
運営していく方式を
とっているの。
この理事会が、いわば管理組合の
『執行機関』として、
マンション管理業者との、窓口となって
実際の、マンションの管理・維持などを
行っているの。」
A「な~る。
管理組合や、理事会については、
大まかに、分かってきたわ。
で、肝心の『総会』って
一体、どんなことをするの?」
管理組合の総会
私「『株主総会』、なんていう言葉で、
お馴染みだと、思うけど、
総会っていうのは、その団体に所属する
全員によって、組織される会合
という意味よ。
区分所有法では『総会中心主義』といって、
管理に関する、重要事項のすべてを
総会で決定する、ということになっているの。
具体的な、内容としては、
1年間の活動報告や、決算報告・予算承認、
ルール変更や、
問題解決、長期修繕計画などについて、
組合員相互の、意見交換や討論を経て、
最終的な決裁をとる、場ってことで、
いわば、管理組合組織における
最高意思決定機関と、いえるわね。
少なくとも毎年1回、管理者(理事長)が、
管理組合員(区分所有者)全員に
召集をかける、ことになっているの。」
A「えっ!?
そんな大切な、会なんだ?
でも隣の奥さんは、毎回20人くらいしか
出ないし、自分も欠席するって
言ってたんだけど??」
私「う~ん。
区分所有者として、マンションの
管理運営に、直接かかわれる機会って、
総会くらいしか、ない訳だから、
ちゃんと出席して、意見交換することが
大切なんだけど、ウチのマンションも含め、
どうも多くの管理組合で、総会への
出席率の低さに、頭を悩ませている
みたいなの。」
総会への出席率
総会は、区分所有者の総意を
検討したり、取りまとめたりする場
であるばかりでなく、
自分たちの財産の、管理状況を把握したり、
今後の方向性を、検討するなど、
非常に重要な、イベントです。
にも関わらず、総会の出席率が
悪いという声を、よく耳にします。
国土交通省の
『平成20年度マンション総合調査結果について』
によると、
出席率は80.3%と、決して低い数字では
ないものの、『委任状および議決権行使書』
提出者を除くと、34.1%と、
実質参加者は、3分の1に過ぎない
ということです。
A「どうして、こんなに出席率が低いの?」
私「規模が大きなマンションや、
築年数が、経過しているマンションほど、
出席率が低下するって、言われているけど、
結局管理に無関心な、人の多さの
現れなんでしょうね。
実は私も、去年まで理事をやって
たんだけど、ウチのマンションも、
総会の出席率が、ホントに悪くて、
実際の出席者は、2割程度なの。
結構マメに、参加を呼びかけても、
結局集まるのは、いつもの顔ぶれ。
マンションの建物や敷地、資金といった
区分所有者が、共有する
財産の管理について、決定する訳だから、
関係ないでは、済まされないんだけど…。
残念ながら、
『理事と管理会社に、任せておけば
間違いないだろう』とばかりに、
資産の管理を、人任せにしている人も
少なくないのよ。
でもこんな風に、無関心を
決め込んでいると、知らぬ間に
管理が、行き届かなくなって、
マンションの、資産価値が
下がってしまう、恐れもあるわよ。
余りに出席者が、少ない場合、
規約改正や、共用部の変更など
4分の3以上の、賛成が必要な特別決議には、
全員が賛成しても、必要数に届かない
といった事態も、現実に起こり得るわよ。
実際に、管理会社の言いなりに
無駄な管理費を、支払っていたり、
管理費や、修繕積立金の見通しが甘く、
肝心の、大規模修繕時に、
100万越えの一時金を、請求されたり
という話も、少なからず聞くわ。」
A「え~!買ったばかりの、マンションの
資産価値が減っちゃったら、大変だ!
欠席なんかしてる、場合じゃ
ないじゃない!
でも主人は、仕事だって言うし、
一体どうすれば、いいの~?」
私「出来れば、総会に出席して、
自分の議決権を、有効に行使して
欲しいけど、
実は、総会に出られなくっても
議決に参加できる方法が、2つあるの。」
総会欠席時に議決に参加する2つの方法
私「あくまでも、総会の議決権は、
区分所有者本人が、出席して、
自ら行使するのが、原則なんだけど、
実は、区分所有法では
『議決権は書面で、または代理人によって
行使することができる』とされているの。」
書面による議決権行使
私「送られてきた、総会の開催案内の中に、
議案書と、出欠票・議決権行使書・委任状が
同封されて、いなかった?
書面による、議決権行使というのは、
各議案ごとに、賛否を記載した書面
つまり『議決権行使書』を、総会開催日前に
提出することで、議決権を行使する方法よ。
管理組合によっては、『議決権行使書』が
同封されていない、場合もあるようだけど
書面による、議決権行使は、
区分所有法で、認められている権利だから、
書面を出せば、受理されるはずよ。」
A「なるほど。
『議決権行使書』を、提出すれば、
議案ごとの、主人の賛否が
総会に直接反映できる、ってことね。」
代理人による議決権行使
私「代理人による、議決権行使というのは、
誰かを代理人として、委任状を提出して
議決権を行使する、やり方よ。
誰に委任するかについて、
法的な決まりは、ないみたいだけど、
標準管理規約では、
同居人・住居を借り受けた者・
他の組合員・他の組合員の同居人
のいずれかと、なっているの。
例えば、奥さんであるA子が
ご主人の代理で、出席する場合には、
『欠席』と記した、出欠票と
『配偶者を代理人とする』旨を、記載した
委任状を提出すれば、手続きは完了。
あとは総会当日、A子が出席し、
ご主人に代わって、各議案の賛否を
表明すれば、OKよ。」
A「委任状だと、私の賛否で議決できる
ってことね。
どっちが、いいのかしら~?」
私「よくご主人と、相談して
決めると、イイわね。
ただ、委任状を使う場合
チョッと、気をつけておいて
欲しいことが、あるの。
それは、『白紙委任状』の問題。」
A「『白紙委任状』?
委任状を、白紙で出したら
イミなくない?」
私「『白紙委任状』ってのは、
代理人氏名が、空白の委任状ことよ。
実は、大抵の委任状には、
『代理人を、記載していないものは、
議長に、一任したものとみなす』
と記載してあるの。
総会の議長っていうのは、
標準管理規約で、理事長が
行うことに、なっているの。
理事長ってのは、議案を出す
張本人だから、当然議案には
賛成な訳よね。
例えば、極端に出席者が、少ない総会で
総会に出席している、区分所有者や、
議決権行使者が、
ある一つの議案に、反対多数の場合でも、
理事長が、大量の白紙委任状を
持っていれば、可決できちゃうわよね。
こんなことが続けば、だれも
まともに出席して、議論しようって
気には、ならないわよ。
だから、委任状を出す場合は、
必ず『この人なら任せられる』という
信頼できる人を、指定することが大切よ。」
A「了解。
出席率を、高めるための委任状が、
出席している人たちの、出る気を
なくさせるんじゃ、本末転倒だもんね。」
私「ただね、あくまで総会の議決は、
区分所有者が、総会に出席して
意見交換を行って、各区分所有者が
意思決定を行うのが、本来の姿。
マンション管理標準指針でも、
標準的出席率、としては、
『委任状などを含めて、80%以上』
望ましいのは、
『少なくとも、半数程度の区分所有者が
実際に出席』としているの。
総会は自分の財産の、価値を左右する
大切な会議であることを、肝に銘じて、
出来る限り、実際に出席して、
有意義な議論の上で、議決するよう
心がけるべきだと、思うわよ。」
おわりに
マンションなどの、集合で住む形態では、
「誰かがやってくれる」という
他力本願な意識が、働きやすいもの。
マンション管理で、起こる問題は、
出来るだけ初期の段階で、問題提起し、
議論をし、対策を行えば、
問題が、大きくなる前に、
少額で対処できる、はずですよね。
しかし、理事も住民も、総会への
意識が薄い、マンションでは、
問題が、大きくなってからじゃないと、
気が付かない、恐れがあります。
そうなってからでは、対応は大掛かりとなり、
結局多くの時間と、費用が
掛かってしまうでしょう。
自分の持ち家であれば、当たり前に
やっているような、
「自分の資産は、自分で守る」
という管理の意識を、
マンションの、共用部分でも
持てれば、いいんでしょうけどねぇ…。(~ヘ~;)ムズカスィー