先日友人から、30歳を過ぎる息子さんの
ことで相談を受けました。
聞けば生まれてこの方
実家で暮らしている息子さん。
結婚する気配も、
一人暮らしを始める気配もなく、
身の回りの世話もほとんど親任せ。
仕事はしているものの、
まだまだ不安定。
自立とは程遠い状況なんだとか。
そういえばそんな話は
この友人からだけではなく、
よく聞く気がします。
親離れが出来ていない子供たち。
実際にはどんな事情なのでしょう。
親離れ、子離れって何?
子供は思春期になると、
親の干渉を嫌って
自分の時間や空間を持ちたいと考えます。
そうすることで自分の個性を確立させ、
親元から離れて自立しようとします。
これが「親離れ」です。
対して、長い時間子供を大切に
育てていた親が、子供の自主性に任せて
社会へ送り出すことが「子離れ」です。
通常、まず子供が自立して離れようと
しますが、中にはこれが
上手くいかない場合があるようです。
親は子離れ出来ている?
昔と比べて、親離れ出来ない子供は
増えていると言われています。
それはいったい、なぜなのでしょうか?
親離れして自立させるようにするには、
どのように接したら良いのでしょうか?
親離れ出来ない子供は、
一概に「甘えているから」という
わけではありません。
子供が親離れできない、自立しない、
と悩んでいる親の方が、実は自立できて
いない、ということもあるのです。
親は子供にとって
一番身近な『お手本』。
親が自立していれば、
子供は知らず知らずその背中を見て
学習しながら育ちます。
夫や妻に依存していたり、
自分の事を自分で考えて決断できなかったり、
親が自立していない場合もあるのです。
子供に変わってほしいと思うなら、
まずは親が変わることも大切です。
ちょっと振り返ってみましょう。
親は子供の安全地帯
一概に自立を促すと言っても、
親や家庭は子供にとって大切な安全地帯です。
成長していく子供に
「親離れさせなくては」
と焦る気持ちもあるでしょう。
けれど、子供にとってはいくつになっても、
親や家庭が安全地帯であることに
変わりありません。
無条件に迎えてくれる場所、
帰れる場所があるからこそ、
外に行動範囲を広げていく事ができます。
子供が親元から離れないという事は、
親や家庭がちゃんと子供の『安全地帯』に
なれているという証でもあるのです。
そのことを理解した上で、無理をさせず、
外に目を向けた時には送り出し、見守り、
帰ってきたら「お帰りなさい」と
迎えてあげることが大切です。
心配からつい先回りして
助言したくなりますが、
子供にとって失敗もまた大切な勉強。
時にはただ見守ることも大切です。
失敗から学ぶ経験や、自分の力で成功できた
という達成感が経験できていない子供は、
外界への警戒心をぬぐうことができません。
親はどっしり構えて、
たとえ失敗しても安心して
帰れる場所でいてあげましょう。
自立心を植え付ける方法とは
山口県の教育者の方が提唱したという、子育て四訓をご紹介します。
- 乳児はしっかり肌を離すな
- 幼児は肌を離せ手を離すな
- 少年は手を離せ目を離すな
- 青年は目を離せ心を離すな
それぞれの時代で離してはいけない
大切なことと、同時に離さなければいけない
ポイントも示してくれます。
自立のためには、あえて与えないことが、
大切なものを育む土壌になることも。
さいごに
これまで色々見てきましたが、
やはり何といっても一人暮らしが
一番の近道かも。
なんでも自分でやらなければ生活が成り立たず、
家賃や光熱費、食費といった必要経費が
どのくらいかかるのかといった現実を身をもって学べます。
かわいい子には旅をさせよ。
ひと通り話をしたら、
冒頭の友人も目が覚めた様子。
うまくいくといいですね。