お水には軟水と硬水があり、その違いは硬度にあります。それぞれの特徴を知ってお料理すると、味に深みが出てより一層おいしくなります。上手に使い分けすれば、料理のレベルアップも期待できます。
お水の硬度って何?
お水の中にどのくらいマグネシウムとカルシウムが含まれているかで硬度が決まります。WHO(世界保健機構)が決めた式があり、それによると120~180mg/ℓ未満が硬度、0~60mg/ℓ未満を軟水と呼んでいます。つまり、カルシウムやマグネシウムの量が少なく柔らかいお水を軟水、両方の成分がたくさん入っていて硬いお水を硬水と呼んでいます。
軟水か硬水かは地形で決まる
日本の水は一部の地域をのぞいてほとんどが軟水です。日本には、山や坂などの傾斜が急なところが多いので、地下にお水が留まる時間が短くミネラルを吸収していく時間がないためです。
一方ヨーロッパはなだらかな地形が多く、雨の水がゆっくり地下にしみこんでいきます。その間にミネラルやイオンが溶けていくため硬水が多いと言われています。
お水の味の違いは?
硬度によってそれぞれお水の味に違いがあります。軟水は癖がなく口当たりがよくて飲みやすいお水です。硬水はミネラルがたっぷり含まれている分、わずかですが重みや苦みを感じることがあります。日本人には飲みなれていない分、飲みにくいと感じる人もいます。
料理や飲み水に使い分けるには?
それぞれの特徴や味の違いを利用して、お料理や飲み水に使い分けることができます。
飲み物
コーヒーは、硬水と軟水で味がかわります。硬水でコーヒーを入れると、カルシウムやマグネシウムが酸味を和らげてくれますが、苦みは増します。しかし、コーヒー本来の深みは味わうことができます。
ヨーロッパの人は硬水に慣れているので、硬水で入れた苦い「エスプレッソコーヒー」を好んで飲む傾向にあります。軟水で入れた場合には酸味は強いものの、まろやかでコクや香りが豊かな味わいが楽しめます。
ウイスキーでは硬水のミネラル成分が味に深みを与えて、複雑な風味を醸し出すようです。また、アルコールの醸造で硬水を使うとミネラルが栄養分となり、微生物の発酵が進んで辛口となると考えられています。
一方、軟水は口あたりがよいことから、軟水でウイスキーを飲むとまろやかで飲みやすい味になります。日本人がよく飲む緑茶も硬水より軟水のほうがおいしく飲めます。
料理
牛肉の塊をじっくり煮込むようなシチューやポトフなどは、硬水が向いています。硬水にはカルシウムがたくさん含まれています。お水に含まれたカルシウムがお肉の臭みやアクを取ってくれるので柔らかくておいしいシチューが出来上がります。
一方、軟水には癖がないため、素材の風味や味を引き立てることが多い和食に適しています。水を使う煮物や、吸い物、米にたっぷり水を含ませて炊きあげるごはんなどは軟水が最適です。煮魚なども軟水のほうがふっくらとおいしく出来上がります。
反対にチャーハンやピラフなどは硬水が向いています。お米が硬めに炊き上がるのでパラっとした仕上がりになるためです。
まとめ
軟水と硬水、どちらを選ぶかによって飲み物や料理の味がかなり変わってくることがわかりました。
苦いコーヒーをゆっくり時間をかけて飲みたい人には硬水がいいですね。一方甘いコーヒーが好きな人には軟水がおすすめです。その日の気分に合わせて飲み分けするのもいいかもしれません。
お料理をするときも、作る料理によってお水を使い分けるとさらに味わい深い料理が完成します。お水の特徴を知れば知るほど、お水は私たちの生活に密着しているのだとしみじみ感じます。