久々に姪っ子から電話がかかってきました。なんでも、そろそろマイホーム購入を検討しているのだとか。それで経験者の私にいろいろ聞いてみたいようです。
姪のところは上の子が3歳、下の子が1歳の4人家族。そろそろ広い家がほしくなる頃合いです。そこで、まずは通勤のことや子供たちの学校のことから始まって、資金繰り、ローンの組み方など、いろいろアドバイスしてみました。
できれば上の子が小学校に上がる前までに決めたい、というのが姪っ子の希望のようです。確かに、学校が決まってからでは、近所でない限りは転校しなければなりませんものね。
そこでふと疑問が。みんないったいどういうタイミングで、マイホームの購入を考えるものなのでしょうか。ウチはローンの年数を考えて、子供がまだヨチヨチの時に一戸建てを入手したのですが、そのへんの理由に、人それぞれ違いはあるものなんでしょうか。
ちょっと気になったので、調べてみることにしました。
家を買う年齢層
国土交通省の「平成30年度・住宅市場動向調査」によると、マイホームを購入した年齢は、戸建て、マンション、新築、中古を問わず、30歳代が一番多い、という結果になっています。
理由はいろいろ考えられますが、やはり住宅ローンの年数を考えての結果でしょう。ほとんどの金融機関は、ローンの返済年数を最長35年としています。つまり30歳代は定年までの完済がギリギリの年齢となるのです。
金融機関にもよりますが、おおむね住宅ローンを利用できる年齢は、20歳以上65歳未満とされています。そして完済期限は80歳がギリギリラインとなります。
つまり、歳を重ねれば重ねるほど、利用できるローンの年数は短くなり、毎月の返済額も大きくなってしまうのです。最長返済年数35年のローンを利用するとなると、ローンスタートのリミットは45歳となってしまいます。
国交省のデータは、そのあたりの事情を如実に反映したものと言えるでしょう。もちろんこれがマイホーム購入のベストなタイミング、というわけではありませんが、高い買い物だけに、多くの人が、まず資金繰りを頭に入れてから、購入に踏み切っていることがよくわかるデータです。
タイミング別のメリットデメリット
では、マイホームを購入するタイミングを、いろんなパターンで見ていきましょう。
結婚したとき
新しい人生のスタートを始めるにあたって、この際、マイホームも購入してしまおう、という人もいるでしょう。
確かに、賃貸に住んで家賃を払い続けるぐらいなら、その分をローンに当てた方が無駄はないでしょう。ローンのスタートも早く、もし20代なら確実に定年までに完済できる年齢です。
ただ、まだ年収がまだそれほど上がっていない時期と思われます。ローンの借入額は年収が高ければ高いほど多くなりますので、高額を借り入れることは難しくなりそうです。
また、若いと頭金に充てられる貯蓄額もそれほど多くはないでしょうし、そうなると物件の選択肢が狭まってしまうことになります。
ちなみにローンの借入額は年収400万円で約2,600万円ほど、500万円で約3,300万円となります。100万違いでこの差は大きいですよね。
子供ができたとき
前述の国交省の統計調査でもわかるように、マイホームを購入する年齢層で最も多いのが、30代。つまりお子さんが生まれたタイミングということになります。
子供が生まれれば、子供中心の生活になります。家も、できればもっと広く、子供の成長に合わせて余裕のある空間を、と望む人も多いでしょう。
このタイミングは、収入もある程度安定してきた時期なので、無理のない返済計画をたてやすい、というメリットがあります。また、子供が保育園や小学校へ上がる前にマイホームを購入できるので、転園や転校の煩わしさも避けることができます。
ただ、若干スタートが遅い分、ローンを完済できる年齢も高くなってしまいます。35歳で購入した場合、最長35年の返済年数だと、完済は70歳。延長雇用も終わった年齢になってしまうため、退職金などを使った繰り上げ返済など、老後に負担の来ないような計画が必要となります。
社会的に安定したとき
勤務先で管理職についたり、収入がアップして、生活に余裕がでてきたタイミングです。年齢的には40代、子供たちもまだ中学生ぐらい、これからの教育環境が気になる、といった頃です。
この年代の人は、比較的貯蓄もできていると考えられます。最長返済年数の35年を使うにはギリギリの年齢となりますが、そのぶんできるだけ頭金を多めに支払うことができ、借入額を少なめにすることが可能です。
ただタイミング的には、お子さんの転校が絡んでしまうことが難でしょう。できるだけ校区が変わらないよう、近所で物件を探してみることも視野に入れておきましょう。
シルバーライフを迎えた時
子供たちも独立して、夫婦二人でゆっくり、好きなように、老後の人生を送りたい。そういうタイミングでマイホームを購入する人もいます。だいたい60代ぐらいの年齢層です。
純粋に自分たちの生活だけを考えて物件を選ぶことができるため、いろんな希望を反映することができますし、さほど大きな物件を必要としないため、価格も安めに抑えることができるでしょう。
ただ、先に引用した国交省の統計調査では、60代は建て替えとリフォームの割合が圧倒的に多く、新築や中古の住宅、マンションを購入する割合はせいぜい1割程度です。
前述したとおり、多くの金融機関のローン利用年数は65歳未満までで、完済は80歳が上限です。つまり60歳でローンを組んだとしても、20年で返済しなければならないのです。国交省の統計結果は、このあたりの事情をよく表している、と言えるでしょう。
資産である持ち家を売って新たに購入するか、あるいはこれまでの貯蓄や退職金を頭金に充ててできるだけ返済額を少なくするか。前者の場合は借金もせずにすむのですが、後者の場合は、どうしても老後の生活に不安がでてきてしまいます。
資産がない場合は、ローンを組んでマイホームを購入するのは、できるだけ避けた方がいいかと思われます。
おわりに
なるほど~。一口にマイホーム購入といっても、いろんなタイミングがあるんですね。そうなると購入の決め手って、いったいなんなのでしょう。
それはやはり「物件との出会い」なのかも。これ以上希望に近いものはないかも、と思った瞬間が決め時なのでしょうね。
ただそういう出会いに遭遇するためには、日頃からいろんな情報を入手しておかなければならないことは、もちろんです。私も不動産屋のチラシに逐一目を通したり、ネットでいろんな物件を見続けましたから。
とにかく、マイホームは一生ものです。焦らないことが第一!これ!と思える素敵な出会いを見つけてください。