12月になると、世の中も気ぜわしくなって、
アレもコレも、とやることがたくさん。
年賀状を作成しながら、ふと目に留まった
門松のイラストが、やけに懐かしく感じます。
そう言えば、最近は普通の住宅で、門松を
飾るのも見なくなったな・・・。
私が子供の頃、父の実家に新年の挨拶に行くと
家の入口には、立派な門松がありました。
祖父は、お正月のしきたりにはこだわりが
あったようで、伝統を大切にしていました。
お正月に門松を飾るのには、とっても日本らしい
ある理由があるんです。
門松を飾っておく期間にも、決まり事が!
祖父から聞いたことを、お話ししますね。
門松はなぜ飾るの?
お正月は、新しい年を運んでくる「歳神さま」を
お迎えする行事です。
歳神さまは、その年の初めに、高い山から里に
降りてくる、と考えられていました。
五穀豊穣・家内安全をもたらす神様であり、
祖先の霊でもある、歳神さまを迎えるための
目印が門松、と言われていますよ。
元々は、木を立てて目印としたのが始まりで、
平安時代には松を飾るようになりました。
さらに、鎌倉時代には、現代のように
竹も飾るようになったとのことです。
松の木を使うのには、1年中緑の葉を茂らせる
生命力には神聖な力がある、とされていました。
「怪談」で有名な、かの小泉八雲も、日本人と
松との関係性に興味を持った、とのこと。
現在は、門松を立てる家も少ないですが、
正月飾りの中で、もっとも重要な飾りなんですよ。
そこには、日本人の縁起を担ぐ姿が表れて
いることに、らしさを感じますよ!
では、まずは、お正月の準備にかける日本人の
心を垣間見てみましょうか。
お正月の準備の重要性
お正月を迎えるために、12月になると準備を
するようになりますね。
元来は、関東地域では12月8日~、関西地域では
12月13日~新年を迎える準備を始めていた、と
言われています。
12月8日は「事始め」と呼ばれ、歳神さまを迎える
ために、人間の仕事を納め準備に入る、という
意味合いがありました。
大掃除から始めていく訳ですが、なんでも、その昔
江戸城のすす払いが、13日に行われていた所以で
庶民にも広がったとか。
現代では、それぞれの都合もあるので、お正月の
準備も、簡略化されたりしていますね。
昔の人にとって、お正月=歳神さまをもてなす、
という大切な準備。
お正月の準備を着々と進め、12月28日には
準備を終える、としています。
歳神さまに幸せを授けてもらうため、時間をかけて
お正月の準備していたのでしょうね。
門松はいつからいつまで飾るもの?
本来、門松を立てるのは、お正月の準備が始まる
12月8日~でもよい、とされています。
しかし、一般的には、12月28日に行いますよ。
なぜ28日なのかと言うと、ここにも日本人の
こだわりがあるのです。
28日に門松を立てる理由とは?
12月29日では、「にじゅうく」なので、二重苦。
「9」から「苦しみ」を連想させる、という訳です。
29日に門松を立てるのは、ご法度なんです。
さらに、12月31日も門松を立てるのを避ける
理由があります。
元旦を迎える、前日の一夜だけ門松を飾る、という
慌ただしい行為が、歳神さまに対して失礼である、
と考えられていました。
また、お葬式の飾りは1夜だけ、ということから
縁起が悪いことも理由なんですよ。
では、12月30日だといいのでは?と、思うところ
ですが、晦日(みそか)とされ、31日と同様の
扱いがされる日なんですね。
門松はいつまで飾っておくもの?
門松を飾っておく期間は、12月28日から始まり、
一般的には、松の内の間、とされています。
松の内とは、多くの地域では1月7日までですが、
関西では、15日や20日という地域もあります。
地域によって日にちが違うこともありますが、
基本的には、「松の内」が終わる日の夕方まで
飾っておきます。
松の内が1月7日までなら、1月6日の夕方に
門松を取り払う、とされていますよ。
まとめ
語呂合わせや、縁起担ぎを大事にしていた日本人。
お正月にかける思いも、並々ならぬものがあり、
良い1年にしたい、という気持ちは、昔も現代も
変わらないものだったのですね。
私の祖父も、昔から続くお正月の儀式を、今に
残そうと、大切にしていたようです。
日本の由緒ある風習は、どんどん簡略化されて
きていることは、本当に寂しいことですよね。
現代では、お正月にもスーパーやレストランが
開店している時代です。
昔とは様変わりしている風景ですが、日本の
文化を大切にしていきたいものですよね。