先日、友人が入っているカラオケサークルの集まりにお邪魔しました。
さすが、皆さん慣れてらっしゃる。
うまい人ばっかりです。
基本的には、楽しく歌って終わり、という集まりらしいんですが、たまに、お互いアドバイスし合ったりするらしい。
その会話の中で「ピッチ」という単語が2、3回、出てきたんです。
「ピッチが合う」とか「ピッチが合わない」とか。
ピッチ?
”急ピッチ” とか ”ピッチ走法” とかのピッチ?
会話の雰囲気からすると「音程」のことみたいだったんですが、でも、音程は音程で「音程が外れた」とか言ってたし……。
ん?と思ったんですが……その場では何となく質問しにくくて、何だろう?と思いながら帰宅しましたが、何だか気になる!
そこで!
音楽シーンでの「ピッチ」の意味とは?
「音程」とは違うの?
調べてみました!
「ピッチ」「音程」言葉の意味は?
まずは、手持ちの国語辞典『大辞泉』で、「ピッチ」という単語を引いてみました。
いろいろな意味のある単語なんですが、その中に
ピッチ(pitch)。音の高さ。高低の度合い。ピッチアクセント
という記述があるのを見つけました。
音の高さ?
それって「音程」のことなんじゃ?
じゃあ「音程」の意味は?
辞典にはどう書いてあるかというと?
音程(interval)。二つの音の高さの隔たり。
むむっ?
違いがあるようにも思えるし、
同じ意味のようにも思えるし……。
”二つの音の”というところに、言葉の意味の違いがあるようですが、どうも今一つ、釈然としません。
もうちょっと具体的に、「ピッチ」と「音程」の違いを追いかけてみましょう。
「ピッチ」と「音程」は何が違う?
「ピッチ」も「音程」も、歌や楽器演奏の際に使われる基本的な言葉です。
「音程」とは音の幅のこと。
例えば、ピアノやオルガンでド♪の次にミ♪を弾いた場合、ドとミは3度離れているので、ドとミの音程は3度、ということになります。
『かえるのうた』を歌う際、歌い出しがド~レ~ミ~ファ~♪と1度ずつ音が上がっていくわけですが、うまく歌えず、少しずつずれてしまったら「音程が外れた」という言い方に。
一方の「ピッチ」の意味は、音の高さそのもの。
『かえるのうた』を歌う際、歌い出しはド♪の音ですが、第一声、ちょっと高い音を出してしまって、歌いながら調整した場合は「出だしのピッチが合わなかった」という言い方に。
ボイストレーニングなど歌のレッスンの場では、先生にもよるようですが、指導の際、「ピッチ」と「音程」は区別して使われるようです。
カラオケの場合、元の歌手の歌が頭に入っていて、それを同じように歌おうとしてしまうと、実際の演奏の音とずれてしまうこともあります。
まず、基本的なこととして、一音一音、しっかり合わせていくこと。
これが「ピッチを合わせる」ということ。
歌を歌う際の、基本なのです。
意識してピッチを合わせていくことで、歌が格段に上達した♪という人も多いようです。
特に使い分けない場合もある
ただし、この「ピッチ」と「音程」、実際に歌を歌う現場だと、案外ごっちゃになって使われていることも。
「ピッチ」という単語にも、音の高低、という意味がありますし、音楽を専門にやってない人からすると、あまり聞きなれない言葉でもあります。
専門のトレーニングを積んだコーラスグループのメンバーなら、「ピッチ」と「音程」をはっきり区別しているはずです。
でも、商店街や子供会で結成したコーラスグループの練習の場では、どっちも「音程が外れてるぞ」で済ませてしまうかもしれません。
もし、今後、何かの機会に、音楽の専門家の歌の指導を受けることがあったとして……。
「ピッチを合わせて!」「音程が外れてる!」と言われたら、違いは何か、具体的に何を直したらいいか、戸惑ってしまいそう。
もう少し詳しい指導を受けることができればいいんですが、そうもいかない場合は、自分たちの歌を録音して聴き返してみるといいかもしれません。
楽器の場合は「チューニング」がポイントに
話はカラオケからちょっと逸れますが……。
吹奏楽やオーケストラなど、楽器演奏の場では、「ピッチ」と「音程」の意味の違いは、もう少し顕著かもしれません。
楽器は、気候や湿度の影響を受けやすい。
特に弦楽器や管楽器。
演奏の前のチューニングは重要です。
弦楽器は弦を締めたり緩めたり。
管楽器はつなぎ目を伸ばしたり縮めたり。
まず、演奏者は個々に、自分の楽器のチューニングをします。
人間の声と違って、楽器の場合は、事前に調整をしておかないと、他の楽器と音を合わせることができません。
チューナーや音叉(おんさ・叩くと特定の高さの音を響かせる金属製の道具)を使って、楽器個々の微妙な音のずれを調整していきます。
で、集まって、みんなで同じ音、例えば”ラ”の音を長く長く出して、全体でまとまるように音を合わせていきます。
この段階で、「ピッチを合わせる」という言葉を使います。
「ピッチが合ってない」と言われたら、まず、チューニングが合ってない可能性が。
さらに、他の楽器と合ってない、という意味合いが含まれている場合もあります。
チューニングで”ラ”の音だけ合わせても、他の音が合わせられなくて、バラバラな感じに聞こえてしまう場合は「音程が悪い」ということになるようです。
でも、実際には……。
あまり区別していない先生もいるみたい。
結局、一般的な言葉の意味の違いを気にするより、その先生がどう使い分けているのか見極めることが必要なのかな、と思います。
まとめ
ピッチ:音そのものの高さ
音程:2つの音の隔たり
でも、広義に解釈すると、音程とピッチは同じ意味合いで使われることが多い。
「ピッチが合ってない」
「音程が合ってない」
これはどちらも、音が合っていない、ずれている、という意味になり、どういう曲のどの部分で言われたかによって、気をつけるべきことも変わってきます。
ピッチが……と言われたら、か~え~る~の~♪の一音一音がしっかり合っているか意識する。
音程が……と言われたら、か~え~る~の~♪の音の高さの変化を意識する。
でも指導する人によって考え方が微妙に違う可能性もあるので、できればもっと詳しく聞く。
そんな感じでしょうか。
次回、カラオケサークルの集まりに加わる機会があったら、意識して歌ってみよう、と思います。