ウミガメの産卵に付きものの涙!その理由が知りたい?

知りたい事

テレビを熱心に見ていた孫娘が「ワッ凄~い、おばあちゃんも観てみて!?」と言うんです。

「どれどれ。」何のことかと思いきや、それこそ今まさにウミガメの産卵が始まったという映像でした。

孫娘「カメさんが目にいっぱい涙を溜めてて、これがお母さんが良く言うところの“産みの苦しみ”っていう言うことなのね。」などとつぶやきながら画面にくぎ付けになっているんです。



祖母「やれやれ、あやめちゃん!動物と人間を一緒にしないで頂だい。カメさんの涙が人間と同じ意味を持つのかどうか、本当のところ、分からないでしょ。」

あやめちゃんは少し不満げに見えましたが、物知りのおばあちゃんの言葉にフ~ンと頷きながらもテレビを見終わったら、涙の意味を祖母と一緒にきちんと調べてみることにしました。

ウミガメの涙!じつは涙じゃない?

さて、あやめちゃんの調べ物は、海の生物図鑑から始まりました。まずはウミガメさんの食生活はどうかと言いますと、遊泳中に海中にある餌を大小いとわず、あの大きなお口で丸呑みにしてしまうんですね。当然餌と同様、海水もガブ飲みのはずです。

飲んで血液中に入ってしまった濃い塩水は、当然塩分の摂り過ぎになりますから、ウミガメさんは危険な状態になります。そのため体内に入った余分な塩分を、吐き出さなければなりません。塩分の摂り過ぎがNGなところは人間と同じなんですね!

この余分な塩分を吐き出すための器官を塩類線と言うそうです。つまりウミガメさんが自分の身の安全を守るためなんですが、この塩水を吐き出すための機能=塩類線がナント目のところにあったということにビックリです。



その生理現象とも言える塩類線から吐き出される海水の粘液が、じつは涙の元だったという訳です。ウミガメさんの涙には昔からそう思われていても不思議ではないというくらい、とても夢を育むのに十分なある因縁(理由)があったということなんですね。

ウミガメはいつも泣いているって!ホント?

塩分を含んだ粘液がじつは涙だと思われているわけで、いつも泣いているように見えているかどうか、とても分かりづらいのではと思うのですが、これってホントのことのようなのです。

海の中で生活しているウミガメさんですが、ご承知の通り産卵の時に限り陸に上がってきます。陸に上がるとすぐにウミガメさんの乾燥してしまいます。

この目の乾燥もウミガメさんにとってはとっても大敵なんです。そこで、塩類線から出る分泌物が目を乾燥から守ってくれているという訳なんですね。



海の中では分かりにくいのですが、陸に上がると体も乾いてしかも流れ出る粘液に砂がまとわりつくと、はっきりくっきり涙のように見えます。それこそ感動の産卵シーンが見事なタイミングで演出されるというのか、これが真相だったんです。

ウミガメさんにとって涙=塩類線は健康な体を保つための必須機能であると同様、涙は私たちにとって物語の必須アイテムということかもしれませんね。

他にもいるの?涙ならぬ塩類線をもった生き物って!

塩類線をもっているのはウミガメだけではありません。爬虫類水鳥にもあります。この機能を持っているので、あえて真水を飲むこともなく、体内の塩分濃度を適度に保っていられるのですね。

海の中で生活している生き物たちも、水分補給のために海水を飲みますが、不必要な塩分はエラから排出しているという事のようです。

同じ生き物でもペンギンは目元ではなく、鼻に塩類線の出口をもっています。水族館などで、陸に上がったペンギンが頭をブルブルって振って、霧状の鼻水を勢いよく吹き飛ばしている光景に出会ったことはありませんか。



可愛いペンギンが鼻水を飛ばしている姿を見て、私は何かに怒っているのかと思っていましたけど、塩類線を知って、なるほど納得できたしだいです。

まとめ

ウミガメさんの産卵と涙の感動ツアーなんて、昔から根強い人気があると聞いてはいましたが、じつは涙と思っていたのは私たちの大きな誤解だったということが解りました。

その涙は海中に限らず陸上でも塩類線の働きによって、いつも出ているものだということが解明できたのは大きな収穫。孫のあやめもその理由を知ることができて、とてもすっきりしたそうです。



「でもあやめはあの涙は産みの苦しみだと思いたいわ!」って、言っています。何故なら夢は夢として、そっと信じていたいそうなのですよ。

そんなあやめが「おばあちゃん、カメの産卵をいつか一緒に観に行こうね。」と優しく誘われてしまいましたよ。

老いて孫に教えられた一コマでした。チャンチャン!

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