芥川龍之介の「鼻」のあらすじは?読書感想文を手早く仕上げたい!

ハウトゥ

夏休みもあと2日と迫った日に、
中学生の姪っ子が、まっさらな
原稿用紙と睨めっこしています。

夏休みの宿題で、明後日まで
読書感想文を書き上げなければ
ならないのに、本も読んでいないとか。

課題図書は芥川龍之介の「鼻」
読みなさいと言われるほどに、
読みたくなくなるのだそう。

是非読んで欲しい名作なんだけれど。。

そこで、この物語のあらすじをざっくりと
聞かせて
、姪っ子の読んで見たい!
気持ちを刺激する事にしました。


あらすじ

まずは登場人物を整理してから、
起承転結の順に、物語をざっくりと
姪っ子に掴ませようかと思います。

登場人物

特異な長い鼻の持ち主である高僧が、
鼻に悩んであれこれ策を練り、
念願叶って普通の鼻になったにも関わらず、

以前よりも嘲笑する周囲の人の目に悩み、
ある日元の長さに戻ってしまった自分の
鼻に今度は安堵する、といったお話。

6行で集約出来てしまうこの物語。
それでは味気無いので、もう少し掘り下げ
まずは登場人物をピックアップしてみます。

  • 禅智内供(ぜんちないぐ)…

    高い位にある50歳を過ぎた僧侶。
    15cm〜18cm程の長い鼻のせいで、
    周囲に陰口を言われ悩んでいる。
  • 中童子(ちゅうどうじ)…

    内供の弟子の代わりで身辺お世話係。
    子供でかなりの悪戯者。子供で遠慮が
    無い為表現がストレート。
  • 弟子の僧…

    京で鼻を短くする医術を聞き、内供に教え、
    実際に内供の鼻を短くすべく施術をする
  • 池の尾の町の人、侍、僧侶、下法師達…

    池の尾(京都府宇治市池尾)に住む人々。
    僧坊があり出入りする僧侶も多い。
    下法師は身分の低い僧侶。

    内供の長い鼻について、陰口を言ったり
    嘲笑したりしている。

あらすじ

では早速起承転結順にあらすじを。

  • 池の尾の内供は、身分も高く50歳を
    過ぎた立派な僧侶だが、自分の鼻に
    悩んでいた

    鼻は上唇まで垂れ下がる長さで、
    食事の時には、中童子に鼻を持ち上げて
    貰う必要がある程。

    町の人は、彼の鼻に同情したり、始終
    話のネタに。

    ある時、中童子が内供の食事中に、
    くしゃみをしたはずみに、

    鼻をお粥の中に落としてしまった話は、
    あっと言う間に町中に広まった。

    内供本人は、僧侶である以上、鼻で
    悩んでいるそぶりは見せないように
    していたが、内心での悩みは相当深刻

    鏡の見方で鼻短く見せる角度を探ったり、
    同じような鼻を持った僧侶がいないか
    探したり、

    過去の偉人で同じ様な鼻の持ち主が
    いないか考えあぐねたり、変な民間療法も
    やってみるが、

    打つ手無しで、
    内供の気分は一向に晴れない

  • ある時、弟子の僧侶が鼻を短くする
    施術方法を医者から聞きつけ、
    内供に施術の事を話す。

    自分から是非やりたいと言えば、
    鼻に悩んでいる事が周りにバレて
    具合が悪い。

    なので、弟子から「是非に」と進言して
    貰い、「それならば」と渋々施術を
    受ける形をとりたい小心な内供。

    そんな内供の気持ちを察して、
    弟子は内供の期待通りに強く進言し、
    施術を始める。

    施術内容は、鼻を湯で茹でて、弟子の足で
    踏みつけ、角栓から緩んだ脂を毛抜きで
    抜いて、再度茹であげるもの。

    弟子の施術は成功し
    鼻は普通の長さになり、

    これで長年のコンプレックから解放され、
    もうこの鼻のせいで嘲笑される事もないと、
    内供は晴々した気分になった。

  • ところが、鼻が短くなった鼻を見て、以前
    よりも
    周りの人々が嘲笑している事に気付き、
    内供は日増しに不機嫌になって行く。

    人へのあたりも厳しくなり、施術をした
    僧侶でさえも内供の陰口を叩くまでに。

    例の鼻持ち中童子が、庭で痩せ犬を
    「鼻を打たれるなよ。」と言いながら
    鼻持ち棒を持って追い回す始末。

    これを見た内供は高僧の立場も忘れ、
    激昂して中童子を張り倒すまでに
    折檻した。

    あれ程に願った短い鼻が、今は更に
    人の嘲笑を買うことになって、物凄く
    恨めしくなった。

  • ある秋の晴れた早朝に、ふと内供が自分の
    鼻にてをやると、元の長い鼻に戻っていた

    もう人が自分の鼻を蔑んで笑うこともない
    だろうと、内供は清々しい気持ちになった。

感想文で考えたいポイント

では感想文に書けそうな私から見た場面を
いくつかピックアップしてみました。

なぜ人々や僧侶達は短い鼻を笑ったの?

この物語の中核とも言えるポイント。

周囲の人々が、内供の長年の悩みで
あった鼻が普通になった時、
なぜ更に嘲笑する様になったのか。

物語中、作者はこんな文章で
説明しています。

…誰でも他人の不幸に
同情しない者はない。

所がその人がその不幸を、どうにかして
切りぬける事が出来ると、今度はこっちで
何となく物足りないような心もちがする。

…もう一度その人を、同じ不幸に
陥おとしいれて見たい
ような
気にさえなる。

人が自分よりも劣っているとあれば、
優位に立てる分、同情する余裕もあるが、

その同情していた相手が幸せを掴むと、
何だか嫉ましく思えて攻撃的に接して
しまう、と言う人間のダークな心理

自分の身の回りでもよくある話です。

野球が初心者だった後輩が、教えを
年輩者の自分に乞うのが健気で、
色々秘策や手の内を教えていたが、

あっと言う間にその後輩が上手くなり
自分よりも上達する段になると、
ライバル視して冷たくあしらう野球選手。

高校まではパッとしないクラスの
底辺女子に、優しく出来ていた
イケてる女子が、

その子が大学デビューで急にモテ始めた
途端
に、つれなくしたりLINE外しをする
などなど。

よくある話だなぁと。

自分の周りの人を見回して見て、こんな
人間くささは怖いけど、何となく共感
出来るかも、とまとめる事が出来そうです。

曲者中童子

この中童子のキャラは際立っていると
感じます。

くしゃみで鼻を粥に落としてしまうのも、
鼻持ち棒で犬を追い回すのも、子供らしい
遠慮のない行為

彼の行動で、鼻粥エピソードが伝聞され
内供の恥は深くなり、犬事件で怒りを
爆発させる内供の卑しい部分が露呈します。

内供にとっては、鼻と同じくらい
目の上のたんこぶ状態な存在なのかなと
思ってしまいます。

なぜ内供は最後に鼻が戻って安堵した?

あれだけ忌み嫌っていた長い鼻が元に
戻って、短い時より却って安堵する内供。

短くなって人から更に嘲笑される事に
耐えられず、元の長鼻を願う内供の心には、

人の目、人からどう見られるかの小心な
気持ちがずっとあり続けている様です。

やはり人間は人にどう思われるか、
人との関わりを切り離して達観するのは、

俗的な欲とは無縁な高僧であっても
難しいのじゃないの?と思わずには
いられません。

周りを見ると、遠慮無しにお節介を焼き
ズケズケとモノ言いをする愛すべき
おば様達を除けば、

比較的社会的地位の高い人程、人から
どう思われるか、自分で望まぬにしろ、

ずしっと肩にのしかかってくるのかな
と思ったりします。

まとめ

「何だか面白そう!読んでみよー!
あらすじを聞いて触手が伸びた姪っ子。

早速本を手に取り一気読み。
ダークな人間臭いエピソードを身近に
探して、感想文を書き上げたそうです。

感想文とか本とか、読まなきゃと思うと
腰が重くなります。

読書嫌いな子供には、夕食時に親が
子供に読んで貰いたい本を、
読み聞かせするのが良いそうです。

それも途中まで。物語が佳境のところで
ストップすると、子供は先が気になり
自分で読む様になるとか。

読まず嫌いよりある程度の内容紹介は、
あっても良いのかなとも思います。

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