タイムカードの押し忘れで罰金はあり?労基署に聞いてみた!

知りたい事

母が務めるパート先に、
「おかしくない?」と思うような
社内規則があるそうです。

「この前、タイムカード押し忘れて、
会社側から『押し忘れ一回につき
罰金500円ね』って言われたの。

時給900円なのにね。」
と、こぼす母。
打刻忘れで500円とは!

そんな規則は労基法違反じゃない?
と思って、ネットで色々調べて
みました。

労基法16条の違約金や損害賠償額を
予め定めることを禁止する
条項に違反している、とか、

労基法91条の減給制限に引っかかる
から違反だ、とか、

打刻漏れに対する罰金は支払う必要が
ない
ような意見や情報が大半でした。

どの情報が母のケースに当てはまる
のか、正直よく分かりません。

そこで地元の労基署に直接電話で、
タイムカードの打刻漏れに対する
罰金はありかどうか
を聞いてみました。


労基法から見るタイムカードの打刻漏れ

打刻漏れで罰金」は違法かどうかを
判断するにあたり、ネットで出てきた

  • 労基法91条の減給制限
  • 同じく16条の違約金や
    損害賠償予定額の定めの禁止

について母のケースを労基署に
尋ねてみました。

労基法91条の減給制限

91条では、ペナルティーとして課す
「罰金」を「減給」と考え、

その減給額について、次の様に制限を
かけています。

  • 一回の額が平均賃金
    一日分の半額を超えない
  • 総額が一賃金支払期(前の締日から
    今度の締日まで)における賃金総額の
    十分の一を超えてはいけない

どんな場合に、減給制裁を
かけられるのかが問題。

条文では、

労働者が、無断欠勤や
遅刻を繰り返して
職場の秩序を乱したり

職場の備品を勝手に私用で
持ち出したりするなどの
規律違反をしたことを理由に・・・・

としています。

つまりタイムカードの打刻漏れが、
「職場の秩序を乱す」ことになるなら、
会社が減給しても問題がないのだそう。

母の時給は900円。ここで具体的に
罰金が減給制限を超えるか計算して
もらいました。

  • 時給900円
  • 一日4時間
  • 週3日の出勤で月12日

とすると、

原則の平均賃金
=直前の3ヶ月の総支給額
÷3ヶ月の総日数(暦歴)

なので、
900円×4時間×12日×3ヶ月分÷(約)90日
=1,440円

最低保障額の平均賃金
=(直前の3ヶ月の総支給額
÷3ヶ月間の労働日数)×0.6

なので、
(900円×4時間×12日×3ヶ月分÷36日)×0.6
=2,160円

原則と最低保証額のうち、
高い方を平均賃金とする
そうです。

つまり母の平均賃金は2,160円。
2,160÷2=1,080円で、
一回の減給制限額は1,080円。

罰金500円はこの額を超えていない
ので、減給制限には引っかからない
なるそうです。

また、母の一ヶ月の収入が43,200円
とすると、10分の1は4,320円。

この額までは、打刻漏れの回数を重ねて
罰金として取られても、違法性がない
そうです。

つまり8回忘れで4,000円で取られ、

それ以上の9回だと1回分の500円を
翌月に繰り越し、罰金として支払う
ことになります。

労基法16条の違約金や損害賠償額の定めの禁止

もう一つの16条を見てみます。

労働契約の不履行について違約金を
定めたり、損害賠償額を予定する
契約をしてはいけない。

となっています。

「途中で退職したら〇〇円支払え」
というような違約金を定めたり、

「仕事中に事故が起こって会社に
損害がでた場合は〇〇円支払え」と
損害賠償額を予め決めておく事は禁止です。

「タイムカードを打刻漏れしたら
500円支払え」のルールが、

16条の予定額に当てはまるとしたら、
このルールは無効となるはずです。

労基署に聞いたところ、この罰金
ルールが、16条で言う予定された
違約金や損害賠償額にあたるかどうか

と言えば、答えはNOだそうです。

タイムカードの打刻漏れに対する
罰金は、会社のルールを守らせる
ための制裁的内容にあたるので、

労基法91条で考えるべき問題であり、
16条の対象とはならないのだそうです。

就業規則や事前の説明

会社側が「罰金」としてペナルティーを
とる場合に、91条に抵触しない為には、

就業規則でそのルールをきちんと明記し、
従業員が知っていることが大前提です。

従業員が10人以下で就業規則がない
ような職場では、

会社側がきちんと採用の際に、ルール
として説明する必要があります。

対策としてできること

母の「罰金」は、結局違法なモノでは
なかったようです。

では今後、どうしたらいいか母と一緒に
考えてみました。

「たかが」でなく「されど」の打刻の重要性

打刻漏れは「たかが」ではなく
されど」と認識すべきな様です。

就業規則に書かれていての
打刻漏れは、立派な規律違反

もし文字通り書かれていなくても、
会社の規定に従わない場合」に
当てはめられ、

懲戒の正当な理由になるようです。

例えば、30分刻みで時給換算する場合、
始業が8時00分~であるのに、
会社到着が8時01分だった、

「30分勿体ないから、押し忘れたこと
にして
、8時ジャストで手書修正して
はんこ下さい。」という輩が多くなれば、

職場の規律も乱れることにもなります。

地元の労働基準監督所に相談

困ったことがあったら、個別の事案
労基署の相談窓口で相談するのが
良いでしょう。

労基署の職員から、職場に「〇〇な
ルールがあるようですが、労基法に
違反してませんか?」と、

電話を入れてくれるようです。

まとめ

理不尽な罰金制度!と思っていた
のですが、

就業規則にもきちんと明記され
母の給料との兼ね合いからも基準を
超えない額の罰金ということで、

母の会社のこのルールでは、罰金
違反ではないようでした。

ネットには色んな情報があって、
自分のケースに当てはまるのがどれか、
取捨選択に迷います。

自分の事例はこうなので、どうすれば?」
と個別の具体的な相談内容を、

地元の労基署に相談するのが
一番良いのかな、と思いました。

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